情報提供(敬称略):M.S.


つくすことが生きがい

ポムニット「ふんふ、ふんふ、ふん♪」
ラージュ「(お、この上機嫌な鼻歌は‥‥‥ポムニットさん?)」
ポムニット「あら、こんばんは、ラージュさん。」
ラージュ「ポムニットさん、どうしたんだよ、こんなところまで?」
ポムニット「今日汚れのひどかった場所をリストにして、明日 優先的にお掃除する場所の段取りをしていたんです。
      なにせ、わたくしはメイドですからね。」
ラージュ「うわぁ、仕事熱心‥‥‥。」
ポムニット「助けて頂いたうえに住まわせて頂いているんですもの、これくらいやって当然です!
      それにわたくし、お屋敷ではハウスキーパーのお仕事と おじょうさまたちの教育をしていたんです。
      それこそが、わたくしが人として生きてゆくための条件みたいなものでしたから。」
ラージュ「条件っていうか‥‥‥それがポムニットさんの生きがいなんだな。」
ポムニット「ええ、そうです。」
ラージュ「人のために尽くして生きるっていうのも、いいな!」
ポムニット「あら、分かります? そうなんですよ〜!
      誰かに尽くして生きる‥‥‥わたくしの奉仕で誰かが笑顔になってくだされば、
      これほどの喜びはございませんッ!」
ラージュ「(本当に嬉しそうだなぁ‥‥‥)」
ポムニット「で・す・か・ら! ラージュさん、わたくしを助けて下さったことは、大変感謝しております。」
ラージュ「いやぁ、そんなことは‥‥‥。」
ポムニット「‥‥‥ですがっ!」
ラージュ「(‥‥‥あれ? ポムニットさんの雰囲気が急に変わったぞ)」
ポムニット「わたくしの大切なおじょうさまを、もし危険な目に遭わせたりしたら‥‥‥。
      絶っっっっっ対に許しませんからね!
      肝に銘じておいてくださいまし‥‥‥。」
ラージュ「‥‥‥は、はい。
     (ポムニットさんって‥‥‥まさか怒らせたらマズい人!?)」
ポムニット「分かって頂ければいいんです♪」
ラージュ「(うう‥‥‥なんだか笑顔も怖くなってきたぞ)」
ポムニット「どうしました、ラージュさん? そんなに縮こまって。」
ラージュ「い、いえ‥‥‥何でもないです。」
ポムニット「急に敬語になるなんて。 うふふ、おかしな人ですね。
      さて、それでは引き続きリストを‥‥‥。
      ‥‥‥あら? あらあら?」
ラージュ「どうしたの?」
ポムニット「‥‥‥すでに終わっているところも、リストに入っちゃってます‥‥‥。
      ここも‥‥‥ここも!? ごっちゃになっちゃってますぅ!
      はうぅ‥‥‥また最初からやり直しですぅ‥‥‥。」
ラージュ「(怖いとこもあるけど‥‥‥ちょっと抜けてるかも)」

ブロンクス家の皆様

ラージュ「あ、ポムニットさん、今ちょっといいか? 話がしたいんだけど‥‥‥。」
ポムニット「わたくしにお話ですか!? はいはい、喜んで!
      お茶をいれますね! お茶菓子は何にしましょうか?」
ラージュ「いや‥‥‥そこまでじっくり話すことでもないんだけど。」
ポムニット「そうなんですかぁ‥‥‥。」
ラージュ「(あれ‥‥‥なんかガッカリさせちゃったかな)
     じ、じゃあ‥‥‥お茶、お願いしようかな。」
ポムニット「はい、少々お待ちください!」

ポムニット「お待たせしましたぁ!」
ラージュ「は、早いな‥‥‥。」
ポムニット「いつもお話に誘われてもいいように常に準備してありますので!」
ラージュ「(もしかしておしゃべりが好き‥‥‥とか!)」
ポムニット「それで、何のお話をしましょう!?」
ラージュ「えっと‥‥‥実はリシェルの家のことなんだ。」
ポムニット「おじょうさまの? それはまた、どうしてですか?」
ラージュ「実は、リシェルにそのことを聞いたら ものすごく嫌な顔されちゃってさ‥‥‥。
     悪いとは思ったんだけど、どうしても理由が知りたくて‥‥‥ポムニットさんなら何か知ってると思ったんだ。」
ポムニット「それで、わたくしにお話を‥‥‥。」
ラージュ「もし良ければ教えてくれないか?
     ほら、また余計なこと言ってリシェルを困らせたくないし、それに仲間の辛い顔は見たくないんだよ。」
ポムニット「‥‥‥もう、おじょうさまったら‥‥‥またそんな態度を取ってしまわれたのですね。」
ラージュ「いつもそうなのか?」
ポムニット「ええ、お家のこととなるといつも不機嫌になってしまわれるんです。」
ラージュ「やっぱり、何かあるんだ‥‥‥。」
ポムニット「悲しいすれ違いというものです。
      おじょうさまの父上、テイラー様は町の名士です。同時に、金の派閥の召喚師でもいらっしゃいます。」
ラージュ「お父さんも召喚師なんだ。」
ポムニット「ええ、それは立派な。
      そして弟のルシアンおぼっちゃまは、大変大人しく、真面目な方なのです。
      とても大きなお屋敷にお住まいで、わたくしはそこでお仕えしているのですけれど‥‥‥。
      重圧というのもあるのかもしれません。おじょうさまはあまり家に居ようとはなさらず‥‥‥。
      父上のテイラー様に反発してばかりなのです。
      でもテイラー様は、決して酷いお方ではなく、子供想いの、とてもよいお父様でもあるのですよ。
      おふたりとも、もっとお互いを理解し合って 仲良くしてくださればいいんですけど‥‥‥はぁ。」
ラージュ「そっか‥‥‥そういうことだったんだ。
     ポムニットさんも間に挟まれて大変だな。」
ポムニット「ええ、ええ、そうなんです。 本当に、あの方々ってば‥‥‥。
      ハッ!
      わ、わたくし、少ししゃべりすぎてしまいました! おじょうさまには秘密にしておいてくださいまし〜!」
ラージュ「う、うん、分かったよ‥‥‥。」
ポムニット「絶対ですよ!?」

 でも、リシェルのことと、ポムニットさんが本当にリシェルたちを大切に思ってることが分かったぞ。
 そういう関係って、いいな‥‥‥。

悪魔としてのわたくし

ラージュ「(ポムニットさん、いないと思ったらまたあんな所に‥‥‥)
     ポムニットさん、そんなところにひとりきりでどうしたんだ?」
ポムニット「あ‥‥‥ラージュさん。
      ごめんなさい‥‥‥何でもないんです。」
ラージュ「何もなくてこんなところにひとりでは来ないだろ? オレでよければ、話、聞くよ。」
ポムニット「‥‥‥っ! ラージュさん!
      では、正直に答えて頂けますか?」
ラージュ「あ、ああ‥‥‥オレで答えられることなら。」
ポムニット「‥‥‥ラージュさんは、わたくしの角を見て‥‥‥どうお思いになられましたか?」
ラージュ「え? ど、どうって‥‥‥。」
ポムニット「恐ろしかったのではないですか!? あんな‥‥‥悪魔の角が!」
ラージュ「(ここでオレが怖くなかったって言えば‥‥‥ポムニットさんは安心してくれるのかな)
     (でも、後で本当のことが分かったら‥‥‥きっと彼女はすごく傷付くだろうな)
     (だとしたら、今、オレが言えるのは‥‥‥っ!)」

ラージュ「‥‥‥正直、すごく怖かった。それはもう、震えちまうぐらいに。」
ポムニット「や、やっぱり‥‥‥。 そう‥‥‥ですよね。」
ラージュ「うん、角は怖かった。
     でも、ポムニットさんのことは怖くなんてなかったぜ。」
ポムニット「えっ‥‥‥?」
ラージュ「リシェルは絶対に元に戻すって意気込んでたしな。
     ポムニットさんが悪魔だって知らなかったフェアですら すぐに『助けなきゃ』って飛び出してたじゃないか。
     みんながそこまで信頼してる人だったら、悪魔であったって怖がることなんてないだろ?」
ポムニット「みなさん、そこまでわたくしのことを‥‥‥っ!」
ラージュ「それに、むしろそこでポムニットさんを助けられなきゃみんなが絶望してしまうって、オレは思ったんだ。」
ポムニット「あ‥‥‥ああ‥‥‥ありがとうございます!
      ラージュさんたちに助けてもらわなければ、わたくしは今頃どうなっていたことか‥‥‥!」
ラージュ「助けられて、本当に良かったよ。
     あとな、ポムニットさんの他にも、『糸』に操られて暴れてた人は何人もいたし。
     実は、ポムニットさんの角が怖いとかいうのも そんなに気にしてなかったってのが本音かな。」
ポムニット「‥‥‥ふふっ、ラージュさんってば。
      確かにここにはいろんな方がいらっしゃいますものね。
      お任せください、ラージュさん!
      また、わたくしのように操られている方が現れたら、今度はわたくしが、全力で止めて差し上げます!」
ラージュ「おうっ、頼りにしてるぞ。」
ポムニット「はいっ!」
ラージュ「(元気が出たみたいで、良かった‥‥‥)」

全身全霊で!

ラージュ「ポムニットさん‥‥‥今まで色々と世話してくれて その、ありがとう‥‥‥。」
ポムニット「どうしたんですか、急に?」
ラージュ「だって‥‥‥今度の戦いでオレたちが勝ったら‥‥‥ポムニットさんも元の世界に帰ってしまうだろ?
     だから、今のうちにお礼を言っておかなきゃな、って思ったんだ。」
ポムニット「ふふ‥‥‥そういうことですか。はい、どういたしまして、です。
      ここをお掃除できるのも、今日が最後なんですね。なんだか感慨深いです‥‥‥。」
ラージュ「ポムニットさんが帰っちゃったら、ここの掃除‥‥‥同じようにできるかな、はははっ。」
ポムニット「大丈夫です。掃除はコツさえ覚えれば簡単ですから。あとでしっかり教えて差し上げますね。」
ラージュ「お、おう‥‥‥よろしく。」

(ポムニット座る)

ポムニット「‥‥‥わたくし、今では、ここへ来て良かったと思ってるんです。
      リィンバウムでの生活を続けていれば出会うことのなかった人たちと、出会えたんですから‥‥‥。」
ラージュ「それは‥‥‥オレも同じだな。新しいことをたくさん知ることができたし。」
ポムニット「この出会いで、わたくしたちは、いくつもの発見を得ることができたんですね。」
ラージュ「ポムニットさんの発見って?」
ポムニット「それは、エニシアさんやギアンさん、カノンさん、そしてライさんも『響界種』だったなんて‥。」
ラージュ「『響界種』って、そんなに珍しいのか?」
ポムニット「ええ、お見かけすることはほとんどありません。もちろん名乗らないからなんでしょうけど‥‥‥。」
ラージュ「どうして黙ってるんだ?」
ポムニット「召喚された者とリィンバウムに住む者との間にできた子どもというのは‥‥‥。
      やっぱり、普通の人たちからすると信じられない、怖い存在なんでしょうね。
      わたくしも、フェアさんのお父様や旦那様にお会いするまでは、人目を避けて暮らしていましたから‥‥‥。
      ですから、わたくしは『響界種』の中でも幸せな方なんだと思います。」
ラージュ「そうなんだ‥‥‥人と『響界種』の間には大きな壁があるんだな。」
ポムニット「はい‥‥‥ですから、わたくしはいつも夢見ているんです。
      いつか、人と『響界種』の垣根が取り払われて、みんな仲良く過ごせる世界がくればいいな、って。
      この世界の人たちのように。」
ラージュ「‥‥‥うん、きっとできるさ。」
ポムニット「わたくし、いつか夢が現実になるって‥‥‥信じています。」
ラージュ「オレも祈ってるよ‥‥‥ポムニットさんの夢が叶うこと。」

ポムニット「じゃあ‥‥‥。
      ラージュさんにもお手伝いして頂けますか?」
ラージュ「えっ、オレ!?」
ポムニット「この世界でみなさんとこんなにも仲良くなれたんです。貴方なら、きっと架け橋になれますよ!
      ですから、わたくしに‥‥‥いいえ、リィンバウムに住むみなさまのために、手を貸して頂けませんか?」
ラージュ「ええっ‥‥‥そ、それは‥‥‥!」
ポムニット「ダメ、ですかっ!?」
ラージュ「いや‥‥‥ダメっていうか‥‥‥。」
ポムニット「‥‥‥‥‥‥。」
ラージュ「え、あ、う、うん‥‥‥。」
ポムニット「良かったぁ〜っ!
      そうと決まれば、未来のためにも全力で頑張らなければですね!
      ラージュさんは、わたくしたちの希望なのです! わたくし、全身全霊をもって貴方をサポート致します!
      ですから、何なりとお申し付けくださいね―――ご主人さまっ♪」
ラージュ「ご、ごしゅッ!? ちょっ‥‥‥えええ!?!?」
ポムニット「ふふふっ‥‥‥。では、まずは目の前の敵を倒すことですね。
      わたくしも力の限り戦います。 ですからラージュさん!」
ラージュ「‥‥‥ああ、全力を尽くして戦おう!」
ポムニット「それでこそわたくしのご主人さまです♪」

最終決戦

(最終戦前)
ラージュ「オレたちは、消えることにもう怯えたりなんかしない。 たとえ消えてしまっても、みんなの魂に生き続ける!
     魂に強く刻まれた想いはけして消えない。 オレはそれを信じる!!」
ポムニット「できればこんな選択はしたくなかったのですけれど、
      わたくしにも守りたいものがあるんです!」

(最終戦後)
ポムニット「短い間でしたが、あなたのお世話ができて楽しかったです。
      わたくし、あなたのことは忘れません。
      魂に刻んで、絶対に忘れないことをお約束します!」
ラージュ「オレだって‥‥‥! 絶対に‥‥忘れるもんかっ!」

ラージュ「ありがとう‥‥‥。」

エンディング「お嬢さまと私」

【忘れじの面影亭】

リシェル「も〜、いいかげんにしてよ、ポムニット!」
ポムニット「いいえ! 今日という今日は、覚悟してくださいまし!
      おじょうさま!」

リシェル「ちょっと、みんな助けてぇ――って、誰もいない!?」
ポムニット「うふふふ‥‥‥。 もう逃がしませんよ〜!」
リシェル「くぅぅぅっ! あたしがいったい、何をしたっていうのよ〜!」
ポムニット「なにもなさらないから、わたくしが怒ってるんじゃないですかっ!
      作法のお勉強がイヤで、お屋敷を抜け出したのは いったいどこの誰ですかねえ?」
リシェル「うぅぅぅぅぅっ!
     あたしは、外で遊んだり、宿屋の手伝いしたり、もっと好きなことがやりたいのっ!」
ポムニット「いっつも、そんなことばかり言って‥‥‥。
      何事も、やる前から決めつけてはいけませんよ。
      やってみたら、好きになることだってあるかもしれません。」
リシェル「えぇ〜〜‥‥‥。」
ポムニット「自分で、自分の知らない可能性を潰してしまうのは
      勿体ないことだとは思いませんか?」
リシェル「あたしの‥‥‥可能性?」
ポムニット「はい。好きか嫌いかなんて、やってみなければわかりません。
      おじょうさまは、会ったことも。見たこともない人を
      好きになったり嫌いになったり出来ます?」
リシェル「その人が、どんな人か分からないなら、判断のしようがないじゃない。」
ポムニット「ええ、その通りです。
     習い事も同じですよ。 やる前から、嫌ってはいけません。
     とにかく挑戦してみましょう。
     もしかしたら、おじょうさまの性にあうかもしれませんし。
     ラージュさんのように、何事にも挑戦してくださいまし。」
リシェル「えっ? 誰のように?」
ポムニット「ですから、ラージュさんのように―――あら?
      ラージュさんって、どなたでしょう???」
リシェル「はぁ? 自分で言ったくせに、誰か分からないの?」
ポムニット「ええ、そうみたいです。
      自然と口から、こぼれてしまって‥‥‥。」
リシェル「ちょっとちょっと、大丈夫?
     もしかして、働きすぎて疲れてるんじゃないの?」
ポムニット「いえ、そんなことはありませんよ。 すこぶる元気ですっ、ほらっ!」
リシェル「じゃあ、なんで知らない人の名前が出てきたワケ?」
ポムニット「さぁ、どうしてでしょうか? ‥‥‥いえ、でも待って下さい。
      ラージュという名前の響き‥‥‥。
      なぜだか、とても懐かしいように思えるんです。」

ポムニット「(‥‥‥ずっとずっと前から、
      わたくしは『彼』を知っていたような‥‥‥)
      (――えっ? 『彼』? 今、わたくし‥‥‥『彼』って)」

ポムニット「‥‥‥そう! そうです、そうですよっ!
      わたくし、思い出しました! 思い出せましたっ! ラージュさん!!
      彼がラージュさんです。 真っ直ぐで、強い眼差しを持った人。
      わたくしは、そんな彼の持つ光に‥‥‥憧れていたんです。
      それなのに‥‥‥。 この特別な想いごと、忘れてしまうなんて。
      トレイユに、戻ってきたせいなんでしょうが、あんまりですよう。
      こんなのって、さみしすぎます‥‥‥。」

 それは‥‥‥オレも同じだな。新しいことをたくさん知ることができたし。

ポムニット「あの世界は、本当に消えてしまったのでしょうか?
      もう二度と、みなさんに会えないのでしょうか?
      ‥‥‥あの時。わたくしは、見ているだけで何も出来ませんでした。
      ラージュさんには、助けてもらってばかりだったのに、
      最後まで、何の気持ちも返せなかった‥‥‥。
      そんなわたくしが、おじょうさまとおぼっちゃまの教育係だなんて、
      笑っちゃいますよねえ。
      「ありがとう」と「ごめんなさい」の言える、
      優しい子に育ってほしい‥‥‥。
      そう思って、お二人を見守ってきたのに。
      わたくし自身が、あなたに「ありがとう」も
      「ごめんなさい」も、言えていないんですから。
      ‥‥‥ラージュさん。 これで、終わりだなんて、イヤですよ。
      ちゃんと、ちゃんと、お話させてくださいまし!
      わたくし、もう一度‥‥‥あなたに会いたいんです。」

ポムニット「‥‥‥えぅ、えううぅっ‥‥‥。」
リシェル「ち、ちょっと、ポムニット、どうしたの? なんで、泣いてるのよ!?」
ポムニット「なんでもありませぇん‥‥‥えぅぅっ。」
リシェル「もしかして‥‥‥あたしが、お稽古サボったのがそんなにイヤだったの?
     わ、悪かったわよ。だから、泣かないで!
     あんたに泣かれると、困るんだから〜〜っ!」
ポムニット「おじょうさま‥‥‥。
      (おじょうさまは、あの世界のことも
      ラージュさんのことも覚えてないのですね‥‥‥)
      (どうして、わたくしだけが思い出せたのでしょうか?)
      (もし、そこに何か意味があるのだとしたら‥‥‥)」

 わたくしは、もう絶対にあなたを忘れたりしません。
 きっとこの記憶が、この世界とあなたを繋ぐ、架け橋になるから。
 何年でも、何十年でも、たとえ何百年でも。絶対に、忘れませんっ!
 だから、だから‥‥‥。
 ‥‥‥会いに来て下さい。
 わたくし、ずっとずっと待っています。あなたを想って‥‥‥待っていますから。

ラージュ「ああ‥‥‥いつか、必ず会いに行くよ!
     だから、待っててくれ。ポムニット!」

ポムニット「ふぇぇっ!?」
リシェル「きゃっ! こ、今度は何よッ!? 変な声、出したりして!」
ポムニット「い、今、そこにいたんですっ! ラージュさんが―――あれ?
      (いない‥‥‥。 たしかに、声が聞こえたのに‥‥‥)」
リシェル「‥‥‥ポムニット、今日のアンタって変!」
ポムニット「そ、そうでしょうか?」
リシェル「そうよ! 今日はもう、屋敷に帰って休んだほうがいいわ。
     後のことは、あたしに任せて! ねっ?」
ポムニット「おじょうさま‥‥‥。
      そんなこといって、わたくしから逃げるつもりですね?」
リシェル「ギクッ!!
     ち、違うわよッ! あたしは本当に、ポムニットが心配でっ!」
ポムニット「そんな言葉に、わたくしが騙されると思いますか?
      甘いですよ、おじょうさまっ!
      さぁ、観念してくださいましっ! 一緒にお屋敷に戻りましょう!」
リシェル「い、いやぁぁぁぁ!」

 ――ラージュさん。
 わたくし、信じてもいいんですよね?いつかまた、あなたに会える時が来るって。
 それまで、待っていますから。
 わたくしの大好きな、この街で――。

 END


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Last-modified: 2018-08-16 (木) 19:00:00 (218d)