情報提供(敬称略):M.S.


無関心は悪なのか?

イスト「どうして私はみんなから叱られたのだろう‥‥‥。」
ラージュ「何か叱られるようなことでもしたのか?」
イスト「わからない。
    どうして万事に無関心なのかと、みんなが私を責めたんだ。
    そうして無関心だと悪いのだろうか?」

(イスト、座る)

イスト「他人に迷惑を掛けているわけでもなければ、干渉しているわけでもない。
    私は彼らに何もしていないはずなのに、責められる筋合いはないと思うのだが‥‥‥。」

ラージュ「それは‥‥‥。」

  •  イストの言う通りだと思う。
    ラージュ「それは、イストの言う通りだよ。
         関心のない人に無理やり関心を持てって言っても難しいからな。」
    イスト「そうなのか‥‥‥。」
    ラージュ「ああ、だからイストは全然悪くないと思うぞ?」
    イスト「ラージュがそう言うのなら、私は今のままでも問題なく変わる必要はなさそうだ。」
    ラージュ「ああ、そうだな。」

     イストが変わる必要性を感じないのなら、このままでもいいと思うんだけどな‥‥‥。

  •  人づきあいはそういうもの。
    ラージュ「それは、人づきあいってのはそういうモノだからだよ。
         せっかく仲間になったんだ。一緒にいる以上は仲良くしたほうが良いだろ?
         みんながイストのことを知りたがっているのは、イストと仲良くなりたいからだと思うぜ。
         仲の良くないヤツと一緒だとストレスが溜まるだろ? それを無くすためにも仲良くしたいんだよ。」
    イスト「なるほど、生き物としての本能なのだな。
        相手に興味を持ち、相手を知る。その行為にそんな意味があったのか‥‥‥。
        実に興味深い行動だね。」
    ラージュ「なんだか微妙にズレてる気がするなあ。言ってることは間違いじゃないんだけど‥‥‥。」

     それでも、イストが少しでもみんなの言うことを、好意的に受け止めてくれるなら‥‥‥。
     今はそれでいいのかも知れない‥‥‥。

  •  イストに興味があるからだよ。
    ラージュ「それは、イストに興味があるからだよ。」
    イスト「私に興味がある?」
    ラージュ「そう、あんたのことを知りたくなったから、みんなは声を掛けたんだろうな。」
    イスト「そういうものなのだろうか‥‥‥?」
    ラージュ「そういうもんだよ。
        現にイストだって、オレたちに興味を持ったから接触してきたんだろ?」
    イスト「ああ、確かにそうだ。私は君たちに興味を持ったから見守っていた。
        君たちのことをもっと知りたいと思ったから、こうして君たちと行動しているんだ。」
    ラージュ「今言ったイストの行動と、みんなの行動、比べてどこか違いはあるか?」
    イスト「‥‥‥そうか、彼らは私と同じことをしていたのか。」
    ラージュ「そう言うことだな。」
    イスト「だが、私は彼らに興味を持たれるような価値がない。私を知っても面白くは感じないのではないか?」
    ラージュ「そんなことはないさ。声を掛けて来たってことは、イストと話すことに価値があるってことだろ?
         価値観は人それぞれだからな。気になるんだったら、イストもそれを相手に聞けばいいんじゃないか?
         そしたら、イストも新しい何かに興味を持てるかもしれないぜ?」
    イスト「そうだね。これからは私から彼らに、コミュニケーションを取ることも視野に入れてみよう。」
    ラージュ「ああ、それがいいよ。」

     イストがみんなに興味を持ってくれるなら、もっとみんなとの距離も縮まるかな‥‥‥。
     頑張れイスト、応援しているからな‥‥‥。

思いやりとは?

イスト「なあ、ラージュ。思いやりとはなんだろう?」
ラージュ「また、いきなり難しいことを聞くな‥‥‥。また何かあったのか?」
イスト「この前、ラージュに言われた通り、みんなとコミュニケーションを取ることにしたんだ。
    それなのにどうしてかいつも話をしている途中で、相手を怒らせてしまうんだ。
    彼らが言うには、私の言葉は細剣のように突き刺さる、まるで思いやりが足りない、らしい。」
ラージュ「確かに、イストはいつも思ったことを、ド直球に言ってるからなあ‥‥‥。」
イスト「私は正しいことを感じたまま口にしているだけなのに、それはいけないことなのだろうか?」

ラージュ「オレが思うには‥‥‥。」

  •  正しいことが正しいわけじゃない。
    ラージュ「オレが思うには、いくら正しいことだからって、そのまま言っちゃいけない時もあるんじゃないかな。
         オレも、正しいと思ったことをそのまま口にして、相手を怒らせた時があるんだ。
         あれは口にしたことが相手を傷つけてたんだと思う。だから、イストが怒られた理由も同じじゃないか?」
    イスト「君は、真実は相手を傷つけるから言うべきではないと? つまり君は私に嘘をつけと、そう言っているのかい?」
    ラージュ「いや、そういうわけじゃ‥‥‥。」
    イスト「だったらどういうことなんだ? わかるように教えて欲しい。」
    ラージュ「オレもみんなと出会ってそんなに経ってないし、よくわかってないんだよなあ‥‥‥。
         どう言ったらイストにうまく伝わるんだ‥‥‥。」
    イスト「‥‥‥もういい。
        君の話を聞いていると、人間関係というものは、実に意味不明で理解しがたいものに思えてくるよ。
        ラージュに聞いても、意味はなかったようだ。」
    ラージュ「え、イスト? おい‥‥‥。」

     どう説明したらイストに伝わったんだろう? 本当に人とのコミュニケーションは難しい‥‥‥。

  •  本音と建て前、そしてうまく生きる方法がある。
    ラージュ「オレが思うに、イストは本音と建て前を使ってないからじゃないか?」
    イスト「本音と建て前? それはどんなものなんだい?」
    ラージュ「マグナから教えてもらったんだけど、うまく生きる方法らしいんだ。
         相手を傷つけないように言葉を選ぶことを、思いやりっていうんだってさ。
         言葉を選ぶことは、自分の思ったことを否定することじゃないらしいぜ?」
    イスト「相手を傷つけない言葉は、どういう基準で選ばれるものなんだ?」
    ラージュ「それは‥‥‥どう選ぶんだろう?」
    イスト「ラージュにもわからないことなのか‥‥‥。ずいぶんとややこしそうだ。」
    ラージュ「そう言われると、オレもイストの意見に賛成したくなるよ‥‥‥。」
    イスト「人間関係って奥が深くて難しいものなんだね。」
    ラージュ「まったくだ。」
    ラージュ・イスト「‥‥‥はぁ‥‥‥。」

     オレたちが本音と建て前を理解して使うには、まだまだ時間がかかりそうだ‥‥‥。

  •  相手を知ろうとする気持ちが自然に思いやりになる。
    ラージュ「オレが思うには、相手を知ろうとする気持ちが自然と思いやりにつながるんじゃないかな?」
    イスト「そんなに上手くつながるものなのかな?」
    ラージュ「つまり、相手の立場に立って、相手が自分の言葉にどんな反応をするか考えればいいと思うんだ。」
    イスト「それは非効率的だ。
        相手の行動原理や心理状態等の情報を分析しなければならない。時間がかかり過ぎる。」
    ラージュ「いや、それで良いんだよイスト。
         イストが言った通り、言葉を選んで使うことは、相手を良く知ろうとする行為と同じなんだ。
         思いやりってものは、相手を知って、相手を大切にしようとする気持ちの表れなんだよ。
         だから、その気持ちが相手に伝われば、みんなに怒られることも少なくなるんじゃないか?」
    イスト「つまり、相手を良く知り、大切に思えるように愛着を持てと言うことか。」
    ラージュ「その言い方もなんか違う気がするけど‥‥‥。」
    イスト「なるほど、重要なのは相手を知ること、そのための試行錯誤‥‥‥積み重ねが大事なのだな。
        どうやら私は性急すぎたようだ。ありがとう、ラージュ。」

     みんなをもっと良く知ろうとすれば、
     イストはみんなと、もっと仲良くなれると思うんだ‥‥‥。

心を通わすには

イスト「彼らの話に付き合うのはやはり疲れる。
    ひとつの会話を交わすだけでも、多くの情報を処理しなければならないのはわかる。
    しかし、動物についての情報など私は持ち合わせていないのに、どうして要求されるのだ‥‥‥。」
ラージュ「今度はいったい何があったんだ? イスト。」

(イスト、座る)

イスト「みんなと動物の話をしたのだけど、『繭世界』にはどのような動物がいるのかと聞かれたんだ。
    知っているものを挙げたんだけど、可愛くないだの 格好良くないだのと言われて散々だったよ。」
ラージュ「それは、またイストには荷が重そうな話題だな‥‥‥。」
イスト「だいたい、みんなの好みの動物の傾向は 教えてもらってもいない情報なんだよ。
    そんな不確かな状況で、相手の好みに合った動物の情報なんて教えられるものか‥‥‥。」
ラージュ「イストも変な苦労をしているんだな‥‥‥。」
イスト「人と触れ合うことはどうしてこんなに大変なんだろう?
    この『繭世界』を管理する以上に難しいだなんて思ってもいなかった。」
ラージュ「イストの気持ちもわかる。苦痛に感じるならやめてもいいんだぞ?
     もともと試してみるつもりで始めたんだしな。」
イスト「苦痛かどうかはわからないけど、私には人と触れ合うことに価値が見いだせないんだ。
    もうこれ以上、続けてもしかたないだろう。」
ラージュ「そっか‥‥‥。
     寂しいけど、イストがそう判断するんだったら、無理に続けろなんて言えるわけがない。
     後はイストが自分で判断するしかない。」
イスト「‥‥‥‥‥‥。
    わかった、そうさせてもらうよ。」
ラージュ「‥‥‥イスト‥‥‥。」

 最後の最後まで、オレたちは わかり合うことができなかったのだろうか‥‥‥。
 去り際のイストの背中に寂しいと感じてしまった‥‥‥。

最終決戦

(最終戦前)
ラージュ「オレたちは、消えることにもう怯えたりなんかしない。
     たとえ消えてしまっても、みんなの魂に生き続ける!
     魂に強く刻まれた想いはけして消えない。 オレはそれを信じる!!」
異識体「ギシギシリリッ! 小癪ナゴミ共メ! 苦シミナガラ喰ワレルガイイ!」
ラージュ「お前に世界を好きにはさせるかよぉぉぉ!!」

(最終戦後)
ラージュ「‥‥‥‥‥‥。」
イスト「くくっ‥‥‥くふふっ。」
ラージュ「‥‥‥イスト?」
イスト「くはは‥‥‥はははははっ!」
アム「ちょっと‥‥‥どうしちゃったの?」
イスト「さあ―――最後の仕上げだ。」
フォルス「えっ‥‥‥!」
(イスト、糸を操ってアムを縛る)
アム「きゃあっ!? なに、これ!」
ラージュ「イスト‥‥‥お前のしわざなのか!?」
イスト「そうだよ。」
フォルス「どうしてこんなことを!?」
イスト「分からないのかい?
    『異識体』が消滅した時点で、後継者の私が、
    全てを引き継ぐことになるのは道理だろう?」
マグナ「な!?」
ナツミ「まさか、貴方‥‥‥!」
イスト「‥‥‥これで私の存在を脅かすものはいなくなった。
    長かった『管理者』の立場も、ようやく終わる。
    君たちには私が何を抱えて生きてきたのかなんて、理解できないだろうね。
    あのままだと私は確実に『異識体』の餌と化していた。
    後継者なんて、餌を肥えさせるための方便なのだよ。
    いつ喰われるともしれない恐怖‥‥‥。
    何も知らず、自由気ままに生きてきた君たちに想像できるかい?」
ラージュ「そ‥‥‥れは‥‥‥っ!」
レックス「だから俺たちに『異識体』を倒させたって言うのか?」
イスト「そのとおりだよ。」
ライ「ちくしょう‥‥‥じゃあハナっからオレたちのこと、だましてたのかよ!?」
アルカ「信じてたのに‥‥‥!」
ラージュ「嘘だろ、イスト!? オレたちは、わかりあえたんじゃないのかよ!?」
イスト「‥‥‥わからないよ。
    わからなかったんだ。結局、
    最後まで君たちのこと‥‥‥わからなかったんだ。
    わかりたかったけれど‥‥‥わからなくて、
    だから、ウソをついて‥‥‥苦しくて‥‥‥。
    だから、いらない! 消去するんだ!!
    全てなかったことにしてしまえば―――。」
フォルス「やめろ‥‥‥イスト! 本当の君はそんなことを望んじゃいないんだろう?
     ラージュとアムを見守って、
     『異識体』の成長を、ひとりで食い止めていたじゃないか。
     君はもっと心の優しい‥‥‥!」
イスト「黙レ!」
(イスト、糸を操る)
フォルス「がぁっ!?」
ラージュ「フォルスはずっとイストの側にいてくれたじゃないか。
     それを忘れたっていうのかよ!?」
アム「魂に刻まれた想いは―――。」
イスト「黙レェェ!」
(イスト、糸を操り攻撃する)
アム「きゃ‥‥‥あ、あ‥‥‥。」
ナツミ「アム!
    いやあああああああっ!」
ラージュ「あぁ‥‥‥イスト‥‥‥なんてことをっ!!」
ルヴァイド「イスト! 貴様、仲間を‥‥‥ッ!」
(イスト、糸を操り攻撃する)
ルヴァイド「ぐ‥‥‥あぁ‥‥‥っ。」
イオス「ルヴァイド、さ‥‥‥っ!」
(イスト、攻撃する)
ナツミ「もうやめてぇぇぇぇ!」
ラージュ「く‥‥‥そぉっ!」
(ラージュ、槍を構えるものの、直ぐにおさめる)
ラージュ「‥‥‥っ! オレには、出来ない‥‥‥。」
イスト「くくく‥‥‥キシッ、キシシシ‥‥‥ッ。
    ワカラナイ‥‥‥私は、永遠に‥‥‥ツナガレナイ!
    これしかないんダ‥‥‥もウ‥‥‥これしカアァァァッ!!」
ラージュ「あああああっ!」
(イスト、糸を操り攻撃する)
ラージュ「がぁっ!?」

(イスト、攻撃し続ける)

(ひとしきり嗤った後、左目から血の涙が伝う)

 ああ、こんな想いなんて―――知りたくなかった!!

 END


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Last-modified: 2020-01-17 (金) 02:14:03 (641d)