ひとりじゃない

 人が増えると楽しいけど、限度ってもんがあるだろ? 質問攻めにされるとさすがに疲れた……。

ラージュ「ここなら誰も来ないだろうし、ゆっくりできて落ち着くぜ‥‥‥。」
??? 「ラージュ? ここにいるの?」
ラージュ「今の声は‥‥‥アム?」

(アム登場)

アム  「居た! 酷いじゃない、ラージュ。」
ラージュ「ええっ? なにが酷いんだよ?」
アム  「抜け出すなら、私にも声を掛けてくれたら良かったのに‥‥‥。
     貴方が途中でいなくなったせいで、よけいに質問攻めにされたのよ?」
ラージュ「それは‥‥‥悪かったけど‥‥‥。どうしてあんたがここにいるんだよ?」
アム  「私も懇親会を抜け出してきちゃったの。人がたくさんいるところは苦手なのよね、私‥‥‥。」

(アム、座る)

アム  「貴方も人に当てられて逃げてきたんでしょう?
     わかるわ。私もひとりでのんびりしたい時は自分の家の屋根の上に登るもの。」
ラージュ「そうなのか?」
アム  「ええ、少し違うけど、ここから眺める景色は最高だもの。」
ラージュ「だったら、自分の家の屋根に登ればいいじゃないか。」
アム  「うん、そうなんだけど‥‥‥。
     ここに来たのは、貴方と話をしてみたいって思ったからなの。」
ラージュ「オレと話を?」
アム  「ええ、顔合わせの時に少し話をしただけだったから、ゆっくり話をしてみたいなって。」
ラージュ「それで、わざわざここまで来たのかよ? オレがいなかったらどうするつもりだったんだ‥‥‥。」
アム  「イストの話を覚えていないの? 私たちは同じような生活をしていたのよ?
     自分の行動パターンを分析すれば だいたい居場所もわかるわよ。」
ラージュ「行動パターン筒抜けかよ!? 怖いな、おい‥‥‥。」
アム  「まあ、いなかったらいなかったで帰るだけだったけどね‥‥‥。
     それにしても本当に似てるのね。家の形も、屋根に登る方法も‥‥‥。」
ラージュ「そうなのか? オレと同じような生活をしてた、ってことは聞いてたんだが‥‥‥。」
アム  「まあ、相棒まで見た目がそっくりだから、その体内の町も建物も似ているのでしょうね。」
ラージュ「そうか。オレたちは何から何まで似てるんだな‥‥‥。
     でも良かったぜ、アムがいてくれて。」
アム  「なっ‥‥‥えっ? ちょっとっ、いきなり何を言ってるの!?」
ラージュ「ほら、出会うまでオレたちはずっとひとりぼっちだっただろ? この世界にはオレしかいないのかって寂しかったんだ。」
アム  「そっ、そう‥‥‥。そうね、私も他に人がいないのが気になってた‥‥‥。」
ラージュ「アムがいてくれたおかげで、オレはひとりじゃないってわかって、すごい嬉しいよ。
     ありがとうな、アム。」
アム  「なにお礼まで言ってるのよ? 私だって貴方に会えてよかったって、そう思ってるわよ。」
ラージュ「なあ、アム。握手していいか?」
アム  「めんどくさいわね。どうして貴方と握手なんか‥‥‥。」
ラージュ「良いじゃないか、せっかく同じ境遇の仲間と出会ったんだ。よろしくってことでさ。」
アム  「握手ね、ちょっとだけなら‥‥‥いいわよ?」

(アム、左手を差し出す)

ラージュ「ああ、よろしくな、アム。」
アム  「ええ、これからよろしくね? ラージュ。
     って、ちょっとラージュ? 力込め過ぎで痛いんだけど‥‥‥。」
ラージュ「ああっ、ごっ、ごめん!」

 ひとりじゃない……。そう思ったら握った手に力が入ってしまった……。

似ているようで似てない

ラージュ「アムは合流するまでどういう生活をしてたんだ?」
アム  「どうしてそんな質問をするのよ?」
ラージュ「オレたちって自分のことも良く知らないだろ?
     だから、それぞれどんな感じに生活してたのかって、情報を突き合わせればわからないかなってさ。」
アム  「今までの行動から分析してみようってことね。ラージュにしては良い案かも‥‥‥。」
ラージュ「ラージュにしてはってのは余計だよ‥‥‥。それでアムはどんな生活をしていたんだ?」
アム  「そんなにラージュと変わりないと思うんだけど‥‥‥。」
ラージュ「そんなの話してみないとわからないだろ?」
アム  「う〜ん‥‥‥そんなこと言われても、気付いたらこの世界にいて、キルトと出会ったのよね。
     その後は、空から落ちてきた物を拾って その日その日を気ままに生きてきた、って感じかしら?
     それから空から落ちてきたナツミ達と出会って、一緒に行動してたら、ラージュたちと合流したのよね。」
ラージュ「それじゃあ、オレと同じか‥‥‥。
     オレもマグナたちに出会うまでは、同じような生活をしてたんだ。
     この世界に来て困ってたあいつらを手助けするために、一緒に旅をしてたらアムに出会ったんだ。」
アム  「へ〜、意外とラージュは面倒見がいいのね。」
ラージュ「面倒見がいいって言うよりは、好奇心に負けただけかもしれないけどな。」
アム  「ラージュのこと、私も言えないかも‥‥‥。」
ラージュ・アム「‥‥‥‥‥‥。」
アム  「う〜ん‥‥‥こうして話を突き合わせてみても、私たちが何者なのかってヒントが思い当たらないわね。」
ラージュ「そうだな‥‥‥。
     でも、アムはすごいよな。」
アム  「‥‥‥え? なっ、何がすごいの‥‥‥かしら?」
ラージュ「同じ生活をしていたはずなのに、ずいぶんとオレよりしっかりした性格をしてるよ。
     アムの家は綺麗に整頓されてるし、オレの家と比べると大違いだ。」
アム  「それはラージュがいい加減すぎるからじゃないの?
     部屋だって、拾ってきた物を乱雑に積んでたりするし、掃除も適当にしてるでしょう?」
ラージュ「いや、掃除は一応してるぞ?」
アム  「そうかしら? 四角い部屋を、文字通り丸く掃いてるんじゃない?」
ラージュ「うっ‥‥‥そんなことはない‥‥‥はずだ‥‥‥。」
アム  「その反応は図星ね?
     健康にも良くないのよ? そういうの。もっと定期的に掃除して、整理整頓しなさいよ。」
ラージュ「そういうの、オレ、苦手なんだよな‥‥‥。」
アム  「今度、手伝ってあげるから、一緒に掃除をしましょう。」
ラージュ「良いのか? 手伝ってもらっても。」
アム  「だってしかたないじゃない。貴方の部屋を見ていると、自分の部屋が汚れているようでイライラするんだもの。」
ラージュ「あ〜、間取りもまったく同じなんだったっけ‥‥‥。」
アム  「言っておくけど、手は抜かないからそのつもりでね?」
ラージュ「‥‥‥わかったよ。すまないけど、その時はよろしく。」
アム  「まったく、しかたないんだから‥‥‥。」

 アムをもうひとりのオレみたいなものだって思ってたけど、ぜんぜんオレと似てないよな‥‥‥。
 似ているようで似ていない別の人なんだって、改めて意識させられたと思う‥‥‥。

イストって何者?

ラージュ「なあ、アムはイストのことをどれくらい知ってるんだ?」
アム  「イストのこと? そうね‥‥‥。
     私も彼のことは気になるけど、上手くはぐらかされてる気がするのよね‥‥‥。」
ラージュ「はぐらかされている?」
アム  「そう、彼って必要以上のことは話さないじゃない? たぶん、隠したい何かが彼にはあるんだと思う。
     それが私たちにとって良いことなのか、それとも悪いことなのかはわからないけどね‥‥‥。」
ラージュ「そうか? ただ単に無関心なだけだと思うな、オレは。」
アム  「ラージュは楽観的すぎるわよ。」

(アム、座る)

ラージュ「アムは違うのか?」
アム  「私は‥‥‥すぐには彼を信用できないわ‥‥‥。
     今回、すごくイストに助けられたのは確かだけど、彼が本当に信用できる人なのかはっきりしてないもの。
     彼を信用するためには、なにか安心できる材料が欲しいわ‥‥‥。」
ラージュ「そんなこと言われてもなあ‥‥‥。
     イストと出会ったのは『絶糸壁』が崩れてからで、そんなに長い付き合いじゃないからな‥‥‥。」
アム  「そうよね‥‥‥。イストって‥‥‥なにものなのかな?」
ラージュ「もしかして、オレたちの親だったりしてな。」
アム  「だとしたら色々と嫌なんだけど‥‥‥。
     私たちが生まれてからかなり経つけど、ずっとほったらかしだったし‥‥‥。」
ラージュ「いや、一概に放っておかれたわけでもないんじゃないか?」
アム  「どうしてそんなことが言えるの?」
ラージュ「オレたちの相棒がそれぞれリンネの分身だったら、あいつの指示でやってきたに違いないと思うんだ。」
アム  「それってつまり、ずっと監視されていたってこと? そう思うとぞっとするんだけど‥‥‥。」
ラージュ「見守ってくれてたって思おうぜ?
     少なくとも相棒がいてくれたから、オレたちは今日まで寝るところに不自由せずにすんだんだしさ。」
アム  「でも『絶糸壁』で閉じ込めたりもしていたのよ?」
ラージュ「危ないところに出て行かないようにってことだろ。」
ラージュ・アム「‥‥‥‥‥‥。
        ‥‥‥はあ。」
ラージュ「どうしてアムはそこまでイストを疑うんだよ?」
アム  「そんなこと言ったって‥‥‥しかたないじゃない。私、こういう性格なんだもの‥‥‥。」
ラージュ「そうかもしれないけど、疑ったらきりがないだろ? アムが気にし過ぎてるだけだって。」
アム  「‥‥‥そうかしら?」
ラージュ「実際、助けてもらってるんだし、敵意を向けられてないなら、現状味方で間違いないさ。」
アム  「そうかもしれないけど、なんだか釈然としないわ‥‥‥。」
ラージュ「なにか言ったか? アム。」
アム  「‥‥‥なんでもないわよ。」

 イストの目的がなんなのかは不明だけど、今の彼の行動から味方なんじゃないかと思う‥‥‥。
 オレたちはそう結論づけるしかなかった‥‥‥。

約束

ラージュ「はぁ‥‥‥。」
アム  「貴方もそうとう参ってるのね‥‥‥。」
ラージュ「ああ‥‥‥。さすがに自分を否定されたら、落ち込むなってのが無理だよな‥‥‥。
     って、いつの間に隣にいたんだよっ!?」
アム  「さっきからずっと声を掛けてたわよ?
     全然気づいてくれなかったし‥‥‥。ラージュもかなり重症よね、珍しいわ。」
ラージュ「そうみたいだな、ははっ‥‥‥。
     ‥‥‥アム、アヤの言葉は本当なのだろうか?
     本当にオレたちは‥‥‥本来存在しない生命なのか? だったらどうしてオレたちはここにいるんだ?
     そう考えると、どっぷりはまり込んじっまてな‥‥‥。」
アム  「そう‥‥‥よね。」

(アム、座る)

アム  「私も考えたんだ。私たちがみんなをこの世界に閉じ込めてるんじゃないかって‥‥‥。
     そこまで考えたら怖くなっちゃって‥‥‥ラージュに会いに来ちゃった。」
ラージュ「アム‥‥‥。」
アム  「偶然とか必然とかそんなことはどうでも良いの。
     もしそれが真実だったら、私たちが存在していること自体が罪なんじゃないの?」
ラージュ「それは考え過ぎだ、アム! 大丈夫だ、そんなことはないよ。」
アム  「‥‥‥どうして、そんなことが言えるのよ。」
ラージュ「オレたちが本当に存在しちゃいけないものだったら、イストがとっくにオレたちを始末してるからさ。」
アム  「イストが?」
ラージュ「この世界の自称管理者だぜ? あいつは。オレたちが原因だったら容赦なく排除してるさ。」
アム  「そうね‥‥‥彼ならきっとそうするはずだわ。」
ラージュ「もっとオレたち自身を信じようぜ?
     少なくとも、オレたちがみんなに敵意を持っていないんだ。きっと大丈夫だよ。」
アム  「そうね‥‥‥きっと、そうよね。」
ラージュ・アム「‥‥‥‥‥‥。」
アム  「ああ、ラージュがいてくれて良かった。」
ラージュ「いきなりどうしたんだよ? アム。」
アム  「安心したら本心が漏れちゃったみたい。
     きっと私ひとりだったら、この現実の重さに耐え切れなかったと思うの。
     こうしてラージュの隣にいると安心できる。同じ境遇の貴方がいてくれて本当に良かった。」
ラージュ「オレだってアムと同じなんだからさ。
     アムがいてくれるから、オレもしっかりしなきゃって思えたんだ。
     たぶん、オレたちふたりは支え合ってきたから、ここまで来れたんだよ。」
アム  「ごめんね? ラージュ。なんだか私、助けてもらってばかりだね。」
ラージュ「そんなことないさ。オレも助けてもらってるからな、お互い様だよ。
     だから、オレをどんと頼ってくれてもいいんだぜ?」
アム  「だったら私のことも頼って欲しいな‥‥‥。
     さっきみたいにひとりで悩まずに、私に話して? 私だってラージュの助けになりたいの。」
ラージュ「そうだな、ふたりで助け合ってここまで来たんだ。これから先、何があってもふたりで助け合って行こう。」
アム  「わかった。約束するわ、私たちに何があっても助け合うって。」
ラージュ「ああ、だからこれから何があってもふたり一緒だ。」
アム  「ありがとう、ラージュ。」

 約束した言葉に強く想いを込める。ふたりで支え合えば何があっても大丈夫だって‥‥‥。
 そうオレは信じてる‥‥‥。

君と出会えて

アム  「いろいろなことがあったわね‥‥‥。」
ラージュ「ああ、はじめてマグナたちに会ってからここまで冒険続きだたからな‥‥‥。」
アム  「みんなに出会ってからここまで来る間に、私たちは変われたのかな?」
ラージュ「少なくともオレは料理の腕とアウトドアの知識は増えたな。」
アム  「何それ‥‥‥。そっちではアウトドアにはまってたの?」
ラージュ「アティがアウトドア教室をしてたんだ。おかげで今なら遭難しても自力で生き延びられそうだ。」
アム  「それはまた楽しそうね。」
ラージュ「ああ、みんなで料理を教え合ったりして、けっこう楽しかったよ。」
アム  「そう、私って貧乏くじを引いたのかしら‥‥‥。
     私なんて、まとまりのないメンバーに振り回されてばっかりだった気がするわ。
     カシスには、もっと愛想よくしようよ、なんて言われ続けてたし‥‥‥。」
ラージュ「そうなのか? 今のアムからは想像つかないな。」
アム  「もし、今の私が以前よりも良くなったって言えるなら、たぶんラージュやみんなのおかげなんでしょうね。
     ありがとうね? ラージュ。」
ラージュ「あ、ああ‥‥‥。」
アム  「なによ? その顔は‥‥‥。」
ラージュ「いや、いつものアムと比べると、ずいぶん素直だなって思ってさ。」
アム  「失礼ね、私が素直になっちゃ悪いわけ?
     ふたりっきりの時くらい、素直になってもいいでしょう?」
ラージュ「いや、そうだな。素直なアムも時にはいいもんだ。あはは‥‥‥。」
アム  「とうとう、最後の戦いなのね‥‥‥。」
ラージュ・アム「‥‥‥‥‥‥。」
アム  「ねえ、ラージュ。私たち、本当に消えずにすむのかな?
     君たちを消させないってイストは言ってくれたけど、具体的なことは教えてくれなかったじゃない。
     それがすごく気になってしかたないのよ‥‥‥。ラージュはどう思ってるの?」
ラージュ「そうだな、あいつの真意はわかんないけど、たぶん具体的な方法なんてないんだろうな‥‥‥。
     『繭世界』もオレたちも同じ、借り物の記憶によって生じた存在だろう?
     この世界が消滅してオレたちだけが消滅しない、なんてありえないよ。
     あの時それを感じたから、アムは必死に抗ったんだろ?」
アム  「‥‥‥ええ、本当はわかってるの。たぶん、私たちはこのまま消えるんじゃないかって。
     でも、もう取り乱したりはしないわ。
     みんなが私たちのことを、大切な仲間だと思ってくれてるってわかったから。」
ラージュ「ああ、みんながオレたちのことを自分のことのように悩み、苦しんでくれてる。
     オレたちに救われる道を探そうと言ってくれた。それだけでも、すごく救われた気がしたよ。」
アム  「でもね、私にとって一番救いになっているのは、ラージュが一緒にいてくれることなんだよ?
     怖くて逃げたくなった時は、いつもラージュが支えてくれてた。
     前向きに立ち向かうラージュを見てると安心できる、奇跡を信じてみたくなるのよ。」
ラージュ「それは買いかぶり過ぎてるよ。怖いのはオレも同じさ。
     みんなと積み重ねてきた思い出が消えるのが怖い。今日まで築いてきた繋がりを失うのが怖い‥‥‥。
     そんなところはアムとなにも変わらない。」
アム  「そうなんだ‥‥‥。」
ラージュ「でもさ、オレ自身が消えるよりも思い出や繋がりを失う方が怖いんだよ。
     だからオレは立ち向かおうって思うんだ。
     戦いから逃げても消えるか食われるかしかないのなら、最後の瞬間までみんなと一緒にいたいんだ。
     オレたちが消える運命から逃れられないなら、残される仲間たちのために何かをしてあげたいんだ。」
アム  「そうね、私もそうしてあげたい。」
ラージュ「自己満足だって言われてもいい。
     戦いの果てに何があったとしても、悔いなく全力を尽くすことができれば、
     笑って結果を受け入れることができるんじゃないかって、そう思うんだ。」
アム  「ええ、きっとそうね。私もラージュが言った通りだと、そう思いたい。
     だから私も、ラージュと一緒に頑張るから。」
ラージュ「ああ、そうだな。
     戦いの果てにどんな未来が待っていたとしても、ふたりで一緒に受け入れよう。」
アム  「そのためにも全力を尽くしましょう。結果の全てを笑って受け入れられるように‥‥‥。」
ラージュ「‥‥‥え〜っと、それでなんだけど、最後にひとつ頼みがあるんだ‥‥‥。」
アム  「最後に頼みごと? いったい何をして欲しいの? ラージュの頼みなら何でも言ってよ?」
ラージュ「握手してくれないかな? こう、気合いを入れるためにさ。」
アム  「‥‥‥え?」
ラージュ「嫌だったらいいんだぞ?」
アム  「ふっ、うふふ‥‥‥。」
ラージュ「おかしいかよ?」
アム  「そうじゃない、はじめを思い出しただけなの。そう言えば、ここで最初にしたのも握手だったなって。」
ラージュ「そう言えばそうだったな。」
アム  「ラージュらしいわ。貴方のそういうところ、私は嫌いじゃないよ。」
(アム、左手を差し出す)
アム  「最後までがんばろうね? ラージュ。」
ラージュ「ああ、悔いが残らないように頑張ろう!」

 ありがとう‥‥‥。
 君と出会えたことが、自分にとってなによりも救いになってる‥‥‥そんな気がするんだ。

最終決戦

(最終戦前)
ラージュ「オレたちは、消えることにもう怯えたりなんかしない。たとえ消えてしまっても、みんなの魂に生き続ける!
     魂に強く刻まれた想いはけして消えない。 オレはそれを信じる!!」
アム  「ええ、一緒に守り抜きましょう!
     この思い出と絆は、私たちの宝物だから‥‥‥!」

(最終戦後)
マグナ 「どうして‥‥‥言ってくれなかったんだ。
     俺たち仲間じゃなかったのか!?」
ラージュ「仲間さ! これからもずっと‥‥‥ね。」
アム  「魂に深く刻まれた想いは決して消えない‥‥‥でしょ?」
ナツミ 「あっ‥‥‥!
     待って! まだお礼が言えてないの!
     ありがとう! ラージュ、アム、イスト、とっても、
     とってもありがとう! 楽しかったよ‥‥‥!」
マグナ 「ありがとう‥‥‥本当に、君たちと出会えて良かった‥‥‥!」
ラージュ「オレだって‥‥‥! 絶対に‥‥忘れるもんかっ!」

ラージュ「ありがとう‥‥‥。」

エンディング「新世界へと」


 ‥‥‥ジュ。ラージュ!

ラージュ「ん‥‥‥う?」

【???】
アム  「ラージュ! もう、やっと起きた。」
ラージュ「あれ‥‥‥‥‥‥アム? どうして‥‥‥。」
アム  「私たち、消えなかったの!」
ラージュ「ウソだ‥‥‥。」
アム  「ホントだってば! ほら、まわりを見てみてよ!」
ラージュ「ここは‥‥‥オレたちがいた世界‥‥‥?」
アム  「そう、『繭世界』! この草の香りや風の感触‥‥‥本物でしょ?」
ラージュ「本当だ‥‥‥。オレたち、生きてるんだ‥‥‥!
     やった‥‥‥やったぞーっ!!」
アム  「うん、やったよ‥‥‥!」

(大喜びしてアムの手を取り、回るラージュ)

イスト 「コホン‥‥‥。」
ラージュ・アム「イスト!」
イスト 「嬉しいのは分かるけれど、はしゃぎすぎじゃないか? ふたりとも‥‥‥。」
(抱き合うふたり)
ラージュ・アム「あっ‥‥‥!」
(離れる)
ラージュ「ご、ごめん‥‥‥つい、嬉しくて‥‥‥。」
アム  「ううん、私の方こそ‥‥‥。」
イスト 「はは‥‥‥。」
ラージュ「あ! でもイスト、どうしてオレたち消えてないんだ? 本当なら、この世界と一緒にオレたちも‥‥‥。」
イスト 「ああ。本来ならこの『繭世界』の崩壊と共に、我々の『共界線』もほどけてバラバラになるはずだった。
     でも、今の私たちを形作っていたのは、もうそれだけじゃなかったんだ。」
アム  「えっと‥‥‥どういうこと?」
イスト 「君たちが何から生まれてきたのかは、覚えているかい?」
ラージュ「リィンバウムに住む人々の記憶の断片、だっけ。
     ‥‥‥ってことは!?」
アム  「私たち‥‥‥みんなの記憶で‥‥‥っ!」
イスト 「そう、彼らがここで経験した私たちとの思い出が、彼らの中に記憶として残ってくれているからだね。」
ラージュ「魂に刻まれた想いは、けして消えない‥‥‥。
     やっぱり本当だったんだ!」
アム  「みんなとの絆、信じて良かった!」
ラージュ「じゃあこの世界が崩壊しなくなったのも、オレたちの存在があるからなんだな。」
イスト 「正確には、新生したみたいだね。
     私たちの記憶を元にして、ほころびかけた世界が再編されたんだよ。
     ―――『異識体』の支配から完全に解き放たれた形でね。」
アム  「それじゃあ、この『繭世界』はもう他の世界を喰らって成長する必要はないってこと!?」
イスト 「その通りだよ。」
ラージュ「新しい世界を誕生させてしまうなんて、想いの力って、すごいんだな‥‥‥!」
アム  「まさに奇跡ね‥‥‥。」
イスト 「本当に、彼らと出会ってから驚かされることばかりだ。」
ラージュ「オレたち‥‥‥みんなに出会ってから ここまで変われて、そして生かされて‥‥‥っ。
     ホント‥‥‥幸せだよな。」
アム  「ええ、一生かけても返せないぐらいの贈り物をたくさんもらっちゃったね。」
ラージュ「みんな、今頃どうしてるんだろうな‥‥‥。」
イスト 「見てみるかい?」
アム  「えっ、そんなことが可能なの!? だってみんなはリィンバウムにいるのに。」
イスト 「どこにいたって一緒さ。ほら‥‥‥。」
(イスト、指を鳴らす)

【大樹の森】
マグナ「ふぅ‥‥‥あともう少しか。」
ハサハ「おイモ、たくさんできた‥‥‥ね。」
アメル「今回のおイモは色も形も良くて、上出来です。
    たっぷり愛情を注いで育てましたから、きっと美味しいですよ。」
マグナ「ああっ、食べるのが楽しみだな。
    でもさすがに俺たちだけでは食べきれないし、ミモザ先輩達にもおすそ分けしてあげよう。」
アメル「それは良い考えですね。」
ハサハ「‥‥‥うん‥‥‥また、あいにいきたい。」
アメル「では、日が暮れる前に全部収穫してしまいましょう。」
マグナ「よぉし、気合い入れて残りも頑張るか!」
ハサハ「‥‥‥おにいちゃん、ほっぺた。」
マグナ「ん?」
アメル「あ‥‥‥ふふふっ。」
マグナ「な、なんだよ?」
ハサハ「‥‥‥ついてる、よ?」
マグナ「え、何が?」
アメル「ふふ‥‥‥土ですね。」
マグナ「なんだ、最初からそう言ってくれれば‥‥‥。
    ‥‥‥っと。これで取れたかな?」
ハサハ「‥‥‥もっと、ひろがった‥‥‥ね。」
アメル「ふふっ‥‥‥あははははっ。子供みたいですよ、マグナ。」
マグナ「も、もういいよ! このままでも‥‥‥。」
ハサハ「はい、おにいちゃん‥‥‥このてぬぐいで、ふいて?」
マグナ「ありがとう、ハサハ。」
(マグナのお腹が鳴る)
アメル「ふふ、マグナったら‥‥‥。」
マグナ「いやぁ、ずっと働きっぱなしだと腹が減っちゃってそろそろ我慢が‥‥‥。」
ハサハ「‥‥‥もうすぐ、ごはん。がんばる。」
マグナ「そうだな。今夜は何にしようか‥‥‥。
    なぁ、ラージュは何が食べたい?」
アメル「えっ‥‥‥? マグナ、それはどなたですか?」
ハサハ「ハサハ、ラージュ‥‥‥しらない、よ?」
マグナ「あれ? えっと‥‥‥誰だろうな?
    うーん、思い出せないや。」
ハサハ「おにいちゃん‥‥‥しっかりして!」
マグナ「ははは。ごめんごめん、ハサハ。」

ラージュ「やっぱり、オレたちのこと‥‥‥覚えてないんだ。」
イスト 「きっとこの世界を構築するために、彼らの記憶が犠牲になったんじゃないかな。」
アム  「それって、私たちを生かすために‥‥‥?」
イスト 「彼らは私たちの身代わりになってくれたんだ。
     ここでの思い出が思い出せなくなってしまっても、仕方のないことなんだよ‥‥‥。」
ラージュ「いいさ、それでも。
     みんなと過ごした楽しい日々は、ちゃんとオレたちの中で生きてるんだからさ!」
イスト 「ああ、そうだね。」
アム  「‥‥‥うんっ!」

 リィンバウムのみんなが元気で良かった。
 オレたちのことを思い出せないとしても‥‥‥もし、心の片隅に、心配する気持ちがあるとしたら。
 どうか、安心してほしい。オレたちはここでこうやって生きているから!
 みんなの想いからできた、この新しい世界でオレたちは懸命に生き続けるよ‥‥‥!
 そしてまた、いつか会えるって信じてる。
 オレたちの絆は永遠だ。そうだろ? みんな‥‥‥。
 それまで、元気で。
 またな‥‥‥!

END


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Last-modified: 2018-09-08 (土) 14:19:00 (133d)