アルカ「ふう‥‥‥やっぱり、ここは落ち着くなあ」
ダイス「姉さん、やっぱりここにいたんだ
屋根の上、危ないからのぼっちゃだめって大家さんに言われてるのに」
アルカ「ダイスもおいでよ風が気持ちいいよ?」
ダイス「またそうやってボクを共犯者にしようとする‥‥‥」
ダイス「ふー‥‥‥うん、やっぱり気持ちいいね、ここ
何かにつけて姉さんが登りたがる気持ち、わかる気がするよ
初めてここに来た日から、ずっとそうだったよね
あれから何年も経ったのに姉さん、全然変わってない」
アルカ「ダイスは、変わったよね 初めて会った時にはあんなに小さかったのに」
ダイス「あはは、ボクらの見た目は、装備次第でいくらでもかわるからね
けど、中核(コア)は何も変わってないさ あの時からずっと、ボクはボクのままだよ
たぶん、これからもずっと、ね」
アルカ「二人そろって成長がないっていうのは、考えものかもしれないけど‥‥‥
ま、いいか これからもよろしくね、ダイス」
ダイス「どうしたのさ、改まって」
アルカ「いやあ、ほら、なんとなく 明日から大変なことになりそうな予感がして」
ダイス「ああー、確かに」
アルカ「何があっても、力をあわせて乗り切っていこうね?」
ダイス「あはは、うん、わかったよ
これから何が起きても、ボクたちは一緒だからね」
アルカ「うん、信頼してる」
ダイス「さてと、それじゃボクは先に部屋に戻るよ
姉さんも、風邪をひく前に降りてきなよね
それじゃ、おやすみなさい」
おやすみ‥‥‥
そして、また明日‥‥‥
アルカ「今日は残念だったね 記憶、取り戻せたかもしれなかったのに」
ダイス「‥‥‥いいんだ、そんなに期待してなかったし
これまでにも、いろいろ試してみたんだよ?
ロレイラルのことを説明したデータディスクをたくさん読み込んでみたり
メテオラさんたちにも、いろいろ故郷の話を聞いてみたし」
アルカ「うん、知ってる がんばってたよね」
ダイス「それでも、何も思い出せなかった ボクの記憶って、そのくらい頑固なんだよ
だから、そう簡単には思い出せないだろうなって、覚悟はしてた
それに、昔のことなんて思い出せなくても、今の生活に不満はないしね
今すぐ思い出したいってくらい焦ってるわけじゃないんだよ」
アルカ「うん‥‥‥」
強がりを言ってはいるけど、やっぱり気にしてるんだろうな‥‥‥
ダイス「あ、あのさ、姉さん、ボク思うんだけど、
人生、たまにはこういう日もあるもんなんじゃないかなって」
アルカ「‥‥‥なに、いきなり」
ダイス「ええとさ、大事なのは過去に起きたことを悔やむんじゃなくて
これから同じことを繰り返さないようにがんばることなんじゃないかなって」
アルカ「‥‥‥あ、なるほど 励ましてくれてるのね
大丈夫だよ、そんなにへこんでるわけじゃないから」
ダイス「‥‥‥本当に?」
アルカ「本当だよ ちょっと考え事はしてたけどね
私はまだ未熟者なんだなあとか、まだまだエルストさんは遠いなあとか」
ダイス「‥‥‥ボクも、ガウディさんみたいにはなかなかできないよ」
アルカ「お互い、高い目標を持っちゃったものだよね」
ダイス「でも、諦める気なんて、ないんだよね?」
アルカ「うん、もちろん 明日からまた、がんばらないとね」
ダイス「今日の失敗を取り戻して、すぐその先を目指さないと」
アルカ「一緒にがんばろうね、ダイス」
ダイス「‥‥‥うん!」
‥‥‥そう、落ち込んでるヒマなんてない 私はダイスと一緒に頑張らなくちゃ‥‥!
ダイス「謹慎中だったはずなのに、ずいぶんと忙しい一日になったね
学園に呼ばれたかと思ったら、機械兵器が暴れ出したり
書類仕事がタイクツだー、なんて言ってる場合じゃなかったよね?」
アルカ「ほんとだよ
今日はすっごく疲れた‥‥‥
だいたい、召喚師の仕事っていうのは異種族間のもめごとを解決とか予防することで
ああいった人たちと正面からやりあうのは専門外だと思うんだけどなあ‥‥‥」
ダイス「だとしても、業務ってことには変わりないからね
戦いのその場に立ったなら、弱い人を守れる自分たちでありたい
あの時、エルストさんがボクたちを守ってくれたように‥‥‥でしょ?」
アルカ「‥‥‥うん、確かにそうだね
戦いが向こうからやってくるんだから、愚痴を言ってても仕方がないか」
ダイス「そうそう」
アルカ「よおし、そうと決まったら、明日のために寝よっ
明日もきっと、忙しい一日になる! そんな気がする!」
ダイス「あはは、姉さんのそういう勘はけっこうよく当たるからなあ」
‥‥‥こんなことを言っておいてなんだけど、どうか明日が穏やかな一日でありますように
ダイス「今日は驚いたね、
まさかルエリィが誓約しちゃうなんてさ」
アルカ「ホントだよね、あの子はつくづく、
わたしたちの予想を裏切ってくれるなあ
うかうかしてたら、すぐに追い抜かれるかもしれないね?」
ダイス「うかうかしていれば、の話だよね
憧れのひとの背中を追いかけてるのは、ボクたちだって同じなんだ
ルエリィにはかわいそうだけど、姉さんの背中に手が届くのは、まだまだずっと先さ」
アルカ「やれやれ、ヘンなふうに信頼されてるのね、わたしは」
ダイス「それが、ボクの自慢の姉さんだからね」
ルエリィが目を覚ましたら、思いっきりねぎらってあげないとね‥‥‥
アルカ「そういえば、また新しいデータディスク、買ってきたの?」
ダイス「うん、「聖王国の興亡」って論文データずっと探してたんだ
狂界戦争当時のことを研究した資料だからいろいろと想像が混じってるけど
そういうのも含めてなかなか面白かったよ」
アルカ「うーん‥‥‥ やっぱり、ちょっとうらやましいなぁ
データディスクだと、本を読むのと違って、知識を得るのは一瞬で済むからさ
今みたいな忙しい時には、わたしもデータを読み取りたくなるよ」
ダイス「でも、そのぶん、読書のほうが自分のペースで知識を増やせるじゃないか
ゆっくり、噛み砕きながら、ひとつひとつ知識を自分の一部にしていく
そういう、情緒? みたいなものがディスクにはないからね」
アルカ「そう言いながら、ダイスはデータディスクのほうが好きなんでしょ?」
ダイス「えへへ、まあね
大量の知識が、どばーって頭に流れ込んでくるのが、すごく気持ちいいんだ
ロレイラル生まれでよかったなって心から思う瞬間だよ
ボクに心があるのかはおいといて、ね」
アルカ「そんな軽口をぽんぽん叩いておいて
心がないって言われても説得力が‥‥‥
あまりデータを楽しんでないで、ちゃんとサスペンドの時間もとるんだよ?」
ダイス「わかってるってば子どもじゃないんだから」
アルカ「そうやってムキになるところが、子どもっぽいの」
そういえば、のんびり読書なんて、しばらくやってこなかったなあ‥‥‥
ダイス「ギフトさんとエルストさんのことは、姉さんがよく話してくれたから
一方的にだけど、よく知ってるような気がしてたんだ
だから、今日、ギフトさんが初対面のボクに友人として接してくれた時は、嬉しかった
‥‥‥嬉しかったんだけど、ね」
アルカ「彼に、何があったんだろう?」
ダイス「たぶん、ギフトさんのことを一番よく知ってるのは姉さんだ
姉さんが分からないなら、誰に聞いたって答えは帰ってこないよ」
アルカ「そう‥‥‥だよね
次に会った時に、本人に問いただすしかないよね」
ダイス「そうだね、きっとまたボクたちの前に現れるから
その時こそ、ちゃんと捕まえて、ゆっくり話をしよう」
アルカ「うん、そうだよね」
きっと、それが、彼の友達として
わたしがするべきことなんだよね‥‥‥
ダイス「‥‥‥」
アルカ「‥‥‥」
ダイス「なんていうか‥‥‥今日はいろいろありすぎて、疲れたね」
アルカ「うん・・・・・・頭のなかが、ぐるぐるしてる
まさか、本当に学園が襲撃を受けるなんて」
ダイス「大胆なだけじゃない、攻め込むための用意も周到だった
改めて、恐ろしい連中を相手にしてるんだって思い知ったよ
それに‥‥‥ギフトさんも‥‥‥」
アルカ「そうだね
彼も、恐ろしい敵の一人だ」
ダイス「ボクたちで、止められるかな?」
アルカ「わたしたちが、止めるんだ
それだけだよ」
ダイス「あ‥‥‥うん、そうだね!」
止めないと、いけないんだ‥‥‥!
ダイス「ごめん!
本当に、ごめんなさい!
ボクが姉さんに頼らないで、ギフトさんを信じたせいで、あんなことに」
アルカ「それは、いいの
謝ることなんて何もない
ギフトは、わたしにとってもあなたにとっても大切な友人なんだし
友人の言葉を信じるななんて、やっぱり言いたくないからね」
ダイス「姉さん‥‥‥」
アルカ「こんなこと言ったのがバレたら、またイェンファには怒られそうだけど
それより、今は素直に、あなたが戻ってきたことを喜びたいな
ギフトに冥土を流し込まれた時には、本当、目の前が真っ暗になったけど」
ダイス「うう、本当に、ごめんなさい‥‥‥」
アルカ「それでも、あなたは帰ってきてくれた
本当に、そのことが嬉しいんだ
ずっと一緒にいたせいか、忘れそうになっていたけれど
わたしにはあなたが必要で、ずっとそばにいてほしいと思ってる
当たり前のことすぎて、いまさら言葉にしても説得力ないだろうけど」
ダイス「‥‥‥ううん、そんなこと、ないよ
僕にも‥‥‥姉さんが必要だ
ずっとそばにいたい
姉さんのことが、何より大切だから」
アルカ「うん‥‥‥知ってるよ
響命石が輝いたあの時から、わたしたちの心は一つなんだって」
それにしても、あの光はいったいなんだったんだろう‥‥‥?
ダイス「エルストさんの言ってたこと‥‥‥」
アルカ「自分の力量から目をそむけ、他人に責を押し付けてる、か
エルストさんに言われると、さすがに・・・・・・辛いな
わたしたちはここまで、あの人の言葉を支えにしてきたんだからね‥‥‥」
ダイス「‥‥‥そう、だね
でもさ、姉さん
ボクは、こうも思うんだ
ボクたちがこれまで、信じて戦うってやり方をしてきたのは、
エルストさんの言葉だけのせいじゃないんだって」
アルカ「え?」
ダイス「だって、ボクたちは知ってるじゃないか
そうやって戦うことの意味と、強さを
ボクたちが初めて出会ったあの時に、
ボクたち自身の目で確かめたじゃないか
たとえエルストさんが自分の言葉をひるがえしたとしても、
ボクたちが、自分たちで積み重ねてきた、
実証データまでは、否定できないよ
だから、さ‥‥‥」
アルカ「間違ってるのは、エルストさんのほう
そういうこと?」
ダイス「わからない‥‥‥エルストさんが間違ってない可能性はあるよ
けど、それとこれとは別なんだ
ボクたちの道は、間違っていない
これだけは確かだよ
だって、ボクは、今でも姉さんのことを信じてる
信じてるから、どんな戦いにだって一緒に臨めると思ってる
ねえさんだって、そうだろ?」
アルカ「うん‥‥‥確かに、そうだね」
ダイス「だったら、きっとそれだけでいいんだ
この気持以上のデータは、どこにもないんだから」
お互いを信じること、信じて戦うことの大切さ‥‥‥
エルストさんに言われたからじゃない
自分たちで実感したから、わたしたちは知っている
ありがとう、ダイス
おかげで、大切なことを見失わずにすんだよ
ダイス「まさか、真紅の鎖の手を借りるとは思わなかったよ」
アルカ「今さら何を言ってるの
私のやり方はよく知ってるでしょ?」
ダイス「そのつもりだったけど、姉さんはときどき予想の上をいくからさ
今回はちゃんと結果がでたからいいけど
失敗してたらと思うと、ね‥‥‥」
アルカ「心配症だな
もっとわたしのことを信じてよ」
ダイス「‥‥‥うん、わかってる
僕は、誰よりも、姉さんのことを信じてるよ
これまで、そして、これからも、ずっと‥‥‥」
そうだね‥‥‥
ずっと、一緒に‥‥‥
ダイス「‥‥‥結局、ボクって何者なのかな
これまで、ロレイラルの機械生命だ、って信じてきたけどさ
あの荒野はロレイラルじゃなさそうだし、あの光の玉がボクの正体だとすると、
本格的に正体不明だよね、ボクって」
アルカ「やっぱり、不安?」
ダイス「んー‥‥‥それが、よくわからないんだ
もちろん、不安ではあるよ
けど、それだけじゃない
ああ、やっぱり、っていう気持ちもちょっとだけあるんだよね
これまで一生懸命自分のことについて調べて、何もわからなかった
思い出の杖にも頼ったのに、何も思い出せなかった
だから、自分でも気づかないうちに、心の中では疑っていたんだと思う
ボクの出身はロレイラルなんかじゃなくて、もっと別のところなんじゃないかって‥‥‥」
アルカ「驚いてない理由はそれだけじゃないはずだよ
ダイスがどこの誰だったとしても、ここにいるダイスは、何も変わらない
わたしの、何よりも大切な弟で、大切な響友
君自身がそれをちゃんとわかっているから、自分を見失うことがない
‥‥‥そうでしょ?」
ダイス「うん‥‥‥そうだね、きっと、そうなんだ
ボク、姉さんの響友になれて本当によかったよ‥‥‥
‥‥‥
でも、こういう時に、ボクの頭をぽんぽん叩くのだけは、やめてくれないかな」
アルカ「あ、ごめんなさい
元気出してほしいなと思って、つい」
ダイス‥‥‥
強がってるけど、やっぱり辛そうね‥‥‥
ダイス「長い戦いだったけど、もうすぐ、全部終わるんだね」
アルカ「うん‥‥‥ようやく、だね
わたしたちが子どものころには、もう始まっていた戦い
わたしたちが出会ったことも、この戦いの一部だった‥‥‥んだっけ」
ダイス「それを言ったら、ボクが生まれたこともだよ
ボクがボクとして動いてきたこれまでの時間のすべては、この戦いの一環だったんだ」
アルカ「‥‥‥悔しいとか、思ってる?」
ダイス「少しはね
でも、大丈夫だよ
ボクを信じてくれているみんあがいる限り、ちゃんと最後まで勇気をもって戦うさ」
アルカ「‥‥‥ありがとう
あなたがあなたとして動いてきたこれまでの時間のすべてが、戦いの一環だった‥‥‥なら、
戦いが終わった後の時間を全部、このままわたしがもらってもいい?」
ダイス「‥‥‥どういうこと?」
アルカ「いまさらだけど、言っておかないといけない大切な言葉を思い出したの
わたしはあなたが好きで、これからも一緒にいたいと思ってる
そして、あなたも同じ気持ちでいてくれてると、自信過剰かもしれないけど、勝手に信じてる
どうかな?」
ダイス「‥‥‥ずるいよ、ボクがどう答えるか折り込み済みで聞いてるんじゃないか」
アルカ「あなたの言葉で伝えて欲しいの」
ダイス「‥‥‥うん、大好きだよ
気持ちは一緒さ
ずっと一緒にいたいと思ってる
‥‥‥ああもう、恥ずかしいな
これでいいの?」
アルカ「‥‥‥」
ダイス「なんで言わせたほうがそんなに照れた顔してるのさ!?
その‥‥‥ボクは機械の体だし、こういうことを言うのもヘンなんだけど
姉さんのことが、好きなんだ
機械としてでも、弟してでもなく
‥‥‥つくづく特殊な存在なんだね、ボク
感情回路のバグまで規格外だよ」
アルカ「バグじゃないよ、それは
好きって思いに、本物も偽物もないもの
強いて言うなら、それはあなたの心が本物だっていう証明になるだけ
そうじゃなきゃ、ダイスに好きって言われてこんなに嬉しい、わたしの心が説明できないよ」
ダイス「ボクの、心‥‥‥」
アルカ「魂が響き合い、心が通い合う‥‥‥
そのふたつを兼ね備えたわたしたちは、やっぱり最高の組み合わせだと思うの
だから、そんな感じでこれからもよろしくね♪」
ダイス「やれやれ‥‥‥姉さんは、本当に調子がいいなぁ‥‥‥」
明日は、最後の決戦
何が起こるのか、想像もつかないけど‥‥‥
わたしたちは、必ず生きて帰ってくる
そして、一緒にこれからの時間を過ごすの
わたしたち二人の心が響き合い選び取った、他の誰の仕組んだものでもない、そういう二人の時間を‥‥‥
アルカ「ふあ‥‥‥あふぅ
こんな時間に起きると、さすがに眠いよ‥‥‥
二度寝したいところだけど、そういうわけにもいかないよね
ちょっと、目を覚ましに行ってこよ‥‥‥」
アルカ「うわぁ‥‥‥いい眺め‥‥‥
そういえば、こんな時間にここに来たことはなかったっけ
ちょっと時間を変えただけなのに、見慣れた光景が、新鮮に見えるなぁ‥‥‥」
ダイス「こんなところで何やってるのさ、姉さん
もうすぐ、出発の時間だよ?
早く出かける準備しないと」
アルカ「そんなに焦らないの
この街との名残を惜しんでるんだから
ほら、ダイスもこっちにおいでよ
いい眺めだよ?」
ダイス「そう?
‥‥‥うん、そうだね
すごく、いい、眺めだ‥‥‥」
アルカ「ダイス?」
ダイス「ライル機関、って言ったっけ、ボクたちを呼んでるっていう組織は
今後の冥土の脅威に対抗するために、ボクたちの力を分析したいっていう‥‥‥」
アルカ「うん、ロレイラル出身の研究者が大勢いるところらしいね
きっと、わたしたちの力だから、何かをつかんでくれるよ」
ダイス「‥‥‥この街を離れるっていうのに、姉さんは、さびしくないの?
ボクたちの力を求めている組織は、他にもたくさんあるんだ
それら全部に協力して回るなら、しばらくセイヴァールには帰ってこれないんだよ?」
アルカ「それは、さびしいに決まってるよ
わたしにとっても、ここは第二の故郷だし
だから、いつか、必ず帰ってくる
今は、この景色を体いっぱいに覚えておこう
旅先でいつでも思い出せるようにね」
ダイス「姉さん‥‥‥」
アルカ「大丈夫、大丈夫
どこに行ったって、ダイスにはわたしがいる
もちろんわたしにはダイスがいる
それだけで、何があったって大丈夫
二人でだったら、何が起きても
乗り越えていけるからね」
ダイス「うん‥‥‥うん、そうだね、姉さん!
それによく考えたら、姉さんと一緒にいるかぎり、賑やかなのは変わらないよね」
アルカ「もうっ、ダイス
それってどういう意味?」
ダイス「あははははっ」
アルカ「‥‥‥うーん
ダイス、ちょっとこっち向いて」
ダイス「え?なに?」
アルカ「うーん、高すぎかな
少しだけしゃがんでもらえる?」
ダイス「何だよ、もう
急がなきゃいけないのに」
アルカ「いいから、いいから
‥‥‥うん、そのくらいの高さ」
(ちゅっ)
アルカ「‥‥‥」
ダイス「えっ‥‥‥今のって‥‥‥」
アルカ「これから、改めてよろしくお願いしますのキス
もしかして、イヤだった?」
ダイス「そ、そんなわけ、ないけど、なんていうか、その、驚いて
‥‥‥」
アルカ「ダイス?
ねえ、どうしたの、ダイス?
け、煙出てる!?
ねえ、ダイスってば、大丈夫!?」
ダイス「あはは‥‥‥本当に、姉さんには、かなわないや‥‥‥
うん、やっぱり、そうだな‥‥‥ボク
姉さんのことを好きで本当に良かった‥‥‥」
ダイス(ボクがここにいるということ
生きて、考えて、動いているということ
すべての始まりは、姉さんとの出会いだった
名前も、姿も、生命も、全て姉さんにもらった
もし、あの日あの時、姉さんがボクという存在の前に落ちて来なかったら
ボクはいまごろ、どういう存在として在ったのだろう?
考えれば考えるほど、怖くなってしまう
そして同時に、感謝の気持で満たされていく
姉さん・・・・・・ボクと出会ってくれて、ありがとう
ボクを形作ってくれて、ありがとう
ボクと一緒に歩んでくれて、ありがとう)
ボクと響き合ってくれて、今この時をくれて、本当にありがとう