情報提供(敬称略):白滝

第2話

フォルス「ふう‥‥‥今日も一日、いろいろあったなぁ
     ちょっと星でも見てから家に帰ろうかな」
ソウケン「む?」
フォルス「あれ? ソウケン どうしてこんなところに?」
ソウケン「‥‥‥大した理由ではない 今日の任務は少々重かったからな
     月の光でも浴びてから休もうと考えた、それだけだ」
フォルス「へぇ‥‥‥少し意外かな」
ソウケン「何がだ?」
フォルス「ソウケンは、こういう無駄なことはしないで夜はさっさと寝ると思ってた」
ソウケン「合理的ではないな」
フォルス「‥‥‥え? そういう返答?」
ソウケン「体の疲れた夜は、さっさと体を休める 心の疲れた夜は、先に心を休める
     静かな月夜に空を見上げるというのは、極めて合理的な心の癒し方だ
     月の光から魔力を得るサプレスの者であれば、また別の意味が生まれるであろうな」
フォルス「あはは‥‥‥風流なのか無味乾燥なのか、よくわかんないコダワリだね‥‥‥」
ソウケン「理解できぬというなら、それはただ貴様が未熟なだけだ」
フォルス「うん、まぁ‥‥‥未熟だね、僕は
     いつもごめんね、ソウケン こんな僕なんかにつきあわせて
     もっと腕のいいチームメイトと組めれば、ソウケンももっと楽ができたはずなのに」
ソウケン「何を言い出すかと思ったら、つまらん戯言か」
フォルス「戯言って‥‥‥僕は本気で」
ソウケン「侮るな
     私は未熟なだけの者と共に任務になど就かん 命令であろうと、何であろうとだ
     無論、貴様は間違いなく、未熟だ そのことを訂正する気は毛頭ない
     だが、貴様は、自分の未熟を受け止め、それでもなお前に進む意思を見せている
     それは、単なる未熟を補って余りある価値だ そうでなければ、貴様などとうに見限っている」
フォルス「は、はは‥‥‥喜んでいいのかな、それ‥‥‥」
ソウケン「好きにしろ そこまでいちいち干渉などせん
     遅くなってしまったな 私は戻る」
フォルス「あ、うん、おやすみ‥‥‥」
フォルス「やっぱり‥‥‥励まされたんだよな、今のって‥‥‥」

なんだろうな、ソウケンに励まされると他の誰の言葉より嬉しいや‥‥‥

第3話

フォルス「あ、あのさ‥‥‥今日は、本当に、ごめん
     ソウケンは止めてくれたのに、無視して突っ切っちゃって‥‥‥」
ソウケン「‥‥‥今さら、何を言っている」
フォルス「え?」
ソウケン「貴様の未熟は、既によく知っている それを御しきれなかったのは私の咎だ
     それが私の咎である以上、貴様が咎められるべきことなど何もない
     頭など下げているヒマがあるなら、その間に少しでも自らを改めろ」
フォルス「‥‥‥はは‥‥‥そっか、うん、ソウケンならそう言うよね」
ソウケン「うん? なぜ笑う」
フォルス「ちょっと安心したから、かな‥‥‥?」
ソウケン「‥‥‥おかしな奴だ」

本当に、ソウケンは厳しいなぁ‥‥‥
僕たちにも‥‥‥そして、自分にも‥‥‥

第4話

ソウケン「学園? そんなところに行っていたのか、貴様らは」
フォルス「うん、久しぶりにね 懐かしかったよ
     お世話になった先生たちとかに挨拶もしたかったけど
     その前に、あの騒ぎが起こっちゃったからね」
ソウケン「‥‥‥であるなら、その心が褪せる前に、また顔を見せに行くがいい
     縁は靭く、しかし儚いものだ
     いずれそのうち、などと考えているうちに逢えなくなることもある」
フォルス「‥‥‥へぇ‥‥‥」
ソウケン「何だ?」
フォルス「ソウケンがそういうこと言うのって、少し意外だった」
ソウケン「縁は大切だ、しかし貴様の場合はそれ以前に公私の別をつけんからな
     日頃の私は、任務中の私情に走ろうとする未熟を咎めているに過ぎん」
フォルス「あー‥‥‥うん」
ソウケン「貴様は、異界生まれの私などより、よほど深くこの街に根差している
     多くの絆を、多くの人との間に結んでいる
     それは得がたい財産だ 大切にするがいい
     ‥‥‥むろん、公私の別をきっちりつけた上での話だがな」
フォルス「あはは‥‥‥うん、気をつけます‥‥‥」

ソウケン、実は僕のこと、よく見てくれてる‥‥‥のかな?

第5話

ソウケン「あの娘、貴様の知己とのことだったな どのような人間か、分かるか?」
フォルス「え? ああ、ルエリィのこと?
     素直で、いい子だよ ちょっと元気すぎるところもあるけど」
ソウケン「‥‥‥」
フォルス「何さ、その目?」
ソウケン「いや、貴様の人を見る目を信じるべきか否か、迷っていた」
フォルス「ひ、ひどいな、自分で聞いておいて」
ソウケン「仕方がないだろう、事実として、貴様の言葉には公平な視点が足りん
     人の美点しか見えていないような者の評にどれだけの信をおけるというのだ」
フォルス「そ、そこまでヒイキはしてないよ‥‥‥してないと思うよ」
ソウケン「まあいい、どちらでもよいことだ
     人の心は、えてして脆いもの 力を得れば壊れてしまう者も少なくない
     我らは召喚師として、新たに誓約の力を得たあの二人を、正しく導かねばならん
     ゆえに、道を誤るような人格ではないかと、貴様に確認しておきたかったのだが‥‥‥」
フォルス「大丈夫、本当に素直でいい子なんだ 間違った道に行かないことは保証するよ」
ソウケン「その保証には何の価値もないが‥‥‥
     頑なに知己を信じようとするその意気だけは酌むとするか」
フォルス「あはは、ありがと」
ソウケン「さて、それでは休むとするか 明日からは、また忙しくなる」
フォルス「‥‥‥あれ? そういえば、ソウケンの謹慎はどうなったの?」
ソウケン「むろん、解かれた 言ったろう、明日から忙しくなると
     これから面倒事が加速的に増えると、調停機構の上のほうも判断したらしい」
フォルス「そっか‥‥‥それはよかった‥‥‥のかな?」
ソウケン「こういう状況だ、あの娘が誓約したことが、我々の追い風になってくれればよいが」
フォルス「‥‥‥うん、そうだね」

ソウケン、もしかして、ルエリィのことも、期待してくれてるのかな‥‥‥?

第6話

ソウケン「‥‥‥」
フォルス「もしかして、今夜は少し虫の居所が悪い?」
ソウケン「いや‥‥‥機嫌が悪いというほどのものではないが」
フォルス「何か、あったの?」
ソウケン「あったというより、むしろ逆だな
     私が自室の窓辺で育てている花が、つぼみのまま、なかなか咲こうとしないのだ
     水は十分に与えているし、日差しにも問題はないはずなのだが
     いったい、何が不満で花開かないというのか‥‥‥」
フォルス「あー‥‥‥そういえばソウケンって、鉢植えが趣味なんだっけ?」
ソウケン「ふむ? 確かに余暇を遣ってはいるが、あれは趣味というほどのものだろうか?
     私は植物に詳しいわけでも、入れ込んでいるわけでもないが
     趣味というのは、一般的には熱意をもって取り組むものだろう?」
フォルス「あー‥‥‥なんていうか、ソウケンは真面目だなあ‥‥‥
     趣味はもっと、自由でいいんだよ 熱くなってもいいし、ならなくてもいい
     なんとなく好き、っていうだけでも十分なんだからさ」
ソウケン「そういうものなのか‥‥‥」
フォルス「まして、相手が生き物だっていうなら、なおさらのんびり待たないとね
     いつ咲くのかは、花の自由なんだ
     そのうち気がむいたころに、きっときれいに咲いてくれるよ」
ソウケン「なるほど‥‥‥確かに、貴様の言うとおりだ
     生命の息吹を前に、私ごときのつまらぬ焦りなど小さいことだ
     私はただ、心を大きくして待てばいい ふっ、趣味とは奥の深いものだな」
フォルス「‥‥‥そういうものでもないんだけど、やっぱりソウケンは真面目だな‥‥‥」

花を育てるソウケンか‥‥‥似合うような、似合わないような‥‥‥
今度、その花を見せてもらいにいこうかな

第7話

ソウケン「ひどい顔をしている」
フォルス「‥‥‥いきなりひどいことを言われた」
ソウケン「顔色の話だ
     どうせ、道を違えた友のことが気にかかり寝つけずにいるのだろう」
フォルス「うっ‥‥‥さすがに、お見通し?」
ソウケン「貴様が分かりやすいだけだ
     それにしても、ずいぶんと貴様によく似た男だったな」
フォルス「え? 意外だな、そういうことは、初めて言われたよ」
ソウケン「志も、歩む道も、行いの善悪すらも、何もかもを違えておきながら
     互いを友と呼び続け、改める気配が毛頭ない」
フォルス「あ‥‥‥そうか‥‥‥」
ソウケン「尋常の者であれば、剣を交える前に友であることを棄てるものだ
     争いの場でなお、互いを友と思える者はそう多くない
     愚かなことではあるが、それが貴様であり、あの男だということだろう
     ならば、敢えて口は出すまい 貴様の心の赴くままに動くがいい」
フォルス「ギフトは、あんなことをしたやつだけど、確かに僕の友達で‥‥‥
     そうだ、友達が道を間違えたんだから、僕が止めないといけないんだ」
ソウケン「ふむ 少しはましな顔になったか
     やはり、心配は要らなかったようだな」
フォルス「そんなことないよ ソウケンのおかげで、大切なことを思い出せた
     だから、ありがとう」
ソウケン「感謝されるようなことは、何もしていない
     さて‥‥‥夜も遅い、そろそろ休むとするか
     貴様も、いつまでも風を浴びていないでさっさと明日に備えろ」
フォルス「うん、そうするよ」

やっぱり、ソウケンはすごいなあ‥‥‥厳しくて、そしてとても優しいよ‥‥‥

第8話

ソウケン「抜剣者(セイバー)か‥‥‥つくづく、この世界は油断がならんな
     いつ、どこから珍妙な人間が飛び出てくるか分かったものではない」
フォルス「本当に、そうだね‥‥‥」
ソウケン「他人ごとのように言うな 貴様も珍妙な人間の一人だ」
フォルス「えええっ!?」
ソウケン「とはいえ、抜剣者(セイバー)の格が違うことには変わりがないな
     あの者の狂界戦当時の活躍ぶりは、大祖父殿から聞いて、少し知っている」
フォルス「カズラマルさんから? 面識あったの!?」
ソウケン「いや、ずっと違う戦場にいたとのことで、顔を合わせたことはないらしい
     だが、誓約者に超律者、越響者たち、そしてもちろん抜剣者(セイバー)‥‥‥
     彼ら人界の勇者たちの雷鳴はどこにいても聞こえていたという」
フォルス「ううん‥‥‥」
ソウケン「納得できないという顔だな?」
フォルス「え? あ、うん‥‥‥なんだか、しっくりこなくて
     抜剣者が凄いってことは分かってたし、
     先生がそうだったんだってのも頭では受け入れたけど
     なんだか‥‥‥もやもやするんだ」
ソウケン「理由を知りたいか?」
フォルス「えっ、ソウケンはわかるの?」
ソウケン「わかるとも 貴様の頭が平和にできているからだ」
フォルス「ええ、と‥‥‥」
ソウケン「平和の時代に生まれ、育ち、それを当り前のものとして捉えている
     良くも悪くも、貴様はそういう人間だ
     だから、貴様の中で輝いている抜剣者(セイバー)の伝説は(つるぎ)を抜き、戦場で暴れた勇者のものではない
     界と界を繋ぐ意志を芽生えさせ、人々に伝えた導き手としてのものだろう」
フォルス「あ‥‥‥っ」
ソウケン「そんな貴様にとって、戦場の雷鳴など何の価値もありはしない
     だから、大祖父殿の話が 心に響かんのだ」
フォルス「そっか‥‥‥確かに、平和にできてるね、僕の頭は」
ソウケン「それで、良いのだろう 戦いに慣れた貴様など、既に別の人間だ
     人が傷つくことをいつまでも恐れ、友の心を見失うことに怯え、
     それでも足掻き続け、私達に道を見せてくれること‥‥‥期待しているぞ」

ソウケンは、いつもまわりくどいなあ‥‥‥
でも、いつも僕をはげましてくれて、ほんとうにありがとう‥‥‥

第9話

ソウケン「相手の意志を無視し、あらゆる命令を強制的に遵守させる力、か‥‥‥」
フォルス「今日教えてもらった冥土召喚術の理念だね」
ソウケン「ああ‥‥‥確かに、それだけを聞けば太古の召喚術と似通う点はあるな
     もともと太古の召喚術は、異世界からの襲撃に対抗するための、戦う力だった
     大きな力を持つ異世界の者には、同じ異世界の者をぶつけることで抗う
     それほど大きな力を持っていなかった、この世界の住人にとっての切り札だった」
フォルス「それだけの力を求められるような、厳しい戦いの時代だったんだろうね‥‥‥」
ソウケン「その召喚術のありかたを、悪と責めることはできないだろう
     それぞれの時代には、それぞれの時代に求められる力というものがある」
フォルス「うん‥‥‥悲しい力だったとは、思うけどね
     けれど、冥土召喚術は別だよ あれは今の時代には必要な力じゃない
     いや、いつの時代にも、あってはいけない力だよ」
ソウケン「ふん」
フォルス「あれ? ‥‥‥僕、何かおかしなこと言った?」
ソウケン「いや、大したことではない 貴様は変わらんなと思っただけだ」

どういう意味だろう‥‥‥

第10話

ソウケン「無様だな」
フォルス「うん‥‥‥」
ソウケン「言い返す気概も残っていない、か 今回はまた、随分と深刻なようだな」
フォルス「僕たちは、エルストさんに憧れて、エルストさんの言葉に導かれてここに来た
     召喚師になったのも、みんなのためにと言って戦ってきたのも、全部そうだよ
     なのに、今さら‥‥‥それが全部間違いだった、なんてさ」
ソウケン「なるほど、それがここで膝を折り、立ち上がれずにいる理由か」
フォルス「また、未熟だって言うんだろ?」
ソウケン「いや
     未熟とは、これから成熟する余地のある青い実に対してかける言葉だ
     枝から腐れ落ちた者を相手に使うつもりはない」
フォルス「‥‥‥
     そっか、僕はもう、未熟者ですらないのか‥‥‥」
ソウケン「他者を重んじる貴様の性根は、時として己を縛るだけの鎖となる
     あの男の言葉は、ある意味では正しいな 貴様は確かに、他者に依存しすぎだ」
フォルス「僕が‥‥‥依存‥‥‥」
ソウケン「全ての言葉を、忘れろ その上で、自分自身に問いかけてみろ
     貴様の心は、何と言っている? 何のために戦いたいと猛っているのだ?」
フォルス「僕は‥‥‥
     僕は、エルストさんみたいになりたくて‥‥‥でも、」
ソウケン「なぜ、否定する
     貴様が目指した召喚師は、既に貴様の心の中にいる
     今日会った、冥土まみれの機人(きじん)のことは忘れろ 貴様の追うべき背中は、貴様の中にしかいない」
フォルス「‥‥‥僕は、あの日のエルストさんみたいに、なりたい
     誰かの心の支えになって、その誰かに心を支えられて、
     そんな‥‥‥絆を紡ぐ召喚師に、なりたいんだ」
ソウケン「ふん‥‥‥ずいぶんと簡単に思い出すではないか
     その思いを手放すな、顔を上げてまっすぐに歩け
     貴様のような未熟者には、それ以外のことはできんのだからな」

僕の、夢‥‥‥なりたかった、召喚師の姿‥‥‥

第11話

ソウケン「‥‥‥貴様か」
フォルス「夜風は体に毒だよ? 今夜くらいは体に気をつけないと」
ソウケン「ふん、体の不調など、日頃から鍛えていればどうということはない」
フォルス「いやいや、ふつうそこまでのケガをしたら不調なんてものじゃすまないからね?」
ソウケン「この身に流れる「暴虐の狐妖」の血は、それなりに特別だ
     この程度のことで音をあげていては、大祖父殿に笑われてしまうな」
フォルス「笑うかなあ‥‥‥ふつうに心配すると思うなあ‥‥‥
     少なくとも、僕は心配だよ ソウケンは、すぐに無理をするから」
ソウケン「私が、無理をする? 記憶にないが
     少なくとも、貴様に言われるほどの無茶を私がするはずがないだろう」
フォルス「そりゃ、ソウケン本人は自信があるんだろうし僕が言えた立場じゃないかもだけど
     僕の手の届かないところでソウケンが危険な目にあうのは、なんか、嫌だよ」
ソウケン「ほう? また、傲慢なことを言うのだな まさか貴様ごとき未熟が、私を守りたいと?」
フォルス「そうだよ おかしいかい?」
ソウケン「‥‥‥さて、どうだろうな 立場が逆だと返したいところではあるが
     貴様の腕に甘えるのも悪くはないと思えてしまった」
フォルス「だったら、これからは、何かをする前に僕のそばに来てくれよ
     もう‥‥‥今日みたいな思いは、二度としたくないから‥‥‥」
ソウケン「ああ‥‥‥そうしよう」

本当に、あんな思いは、もう二度と‥‥‥

第12話

ソウケン「‥‥‥いつものことではあるが、今宵もまた、覇気のない顔をしているな」
フォルス「んー‥‥‥そんなに参ってるつもりはないんだけどね
     ちょっと、悩み事というか、考え事みたいなものがあって」
ソウケン「話してみろ」
フォルス「うん‥‥‥ええとさ、自分で言うのもなんだけど、僕って努力してたと思うんだ
     召喚師になりたい、って夢をもって、このセイヴァールに来て‥‥‥
     その夢をかなえるために、けっこうがんばったんだよ
     召喚師になった後だって、そうだよ 僕は、僕なりに、一生懸命やってきた
     そういうのを評価してもらって、今の自分の居場所があるって‥‥‥
     そんなふうに思っていたのに‥‥‥もしかしたら‥‥‥」
ソウケン「それら全てが偽りであったかもしれんと、疑っているわけか?」
フォルス「疑いたくなんてないよ、もちろん
     でも、もしかしたらって思うと ちょっと気持ちが‥‥‥ね」
ソウケン「なるほど‥‥‥未熟者だとは理解していたつもりだったが
     どうやら今宵からは、愚か者という評価も加えねばならんようだな」
フォルス「え、ええっ!? どうしてそうなるの!?」
ソウケン「周りの人間が貴様をどう評価しているかなど、悩むまでもなく自明であろう
     そのような下らぬことに小さな頭を遣う、それを愚かと言わずして何と言うのだ」
フォルス「そんなこと言われても、不安なものは不安だから!」
ソウケン「私は、貴様を評価している
     召喚師として、戦士として、人間として、一人の男として‥‥‥
     未熟なれど、得がたい友だと思っているのだがな?」
フォルス「‥‥‥あ、えと‥‥‥」
ソウケン「どうだ? 不安は、和らいだか?」
フォルス「あ、うん‥‥‥たぶん‥‥‥」
ソウケン「ふん、やはりな
     この程度の言葉ひとつで、どうとでもなる程度の不安であったか」
フォルス「こ、この程度って、いまけっこう恥ずかしいことを言ってたような‥‥‥」
ソウケン「恥じるつもりはないぞ? この心より真に出る言葉であればな
     少なくとも、それだけの価値は貴様にあるということだ」
フォルス「‥‥‥あ、ありがとう‥‥‥」

不安は吹き飛んだけど、結局落ち着かない気持ちは変わらないよ
‥‥‥今夜、ちゃんと眠れるかなあ‥‥‥

第14話

好感度4・5
ソウケン「‥‥‥」
カズラマル「‥‥‥」
フォルス「あれ? カズラマルさん?」
カズラマル「む? ‥‥‥おお、貴様か 今宵も夜の散策か?」
フォルス「こんばんは、気持ちのいい夜ですね ‥‥‥空を見上げなければ、ですけど」
カズラマル「ふむ、確かにな‥‥‥ 月があのざまでは、落ち着いて酒にも酔えん
      つまり明日の戦いは、全ての世界の酒の味に関わる大決戦ということだ
      何があっても負けられぬな!」
フォルス「‥‥‥お酒のためなんだ‥‥‥」
ソウケン「大祖父殿、あまりふざけていると また空狐殿にお報せすることになるが」
フォルス「‥‥‥ええと?」
ソウケン「比類なき大妖怪と称えられる大祖父殿にも、頭の上がらぬ相手はいるということだ
     それはさておき、先ほどの話だが‥‥‥
     大祖父殿、戦いの後すぐに、というのは さまざまな都合が悪い
     しばしの時をいただくわけには いかぬだろうか‥‥‥?」
カズラマル「時ならばすでに、充分すぎるほど与えておるだろう
      もう少しだけ見守りたい、というのが貴様の言い分であったな
      その言葉に見合う時間は、すでに流れた そうは思わぬか?」
ソウケン「それは‥‥‥確かに‥‥‥」
フォルス「ええと、何の話をしてるんでしょう?」
ソウケン「私が、鬼妖界へ帰る話だ」
フォルス「あ、なるほど‥‥‥
     って、ええええ!? ソウケン、帰っちゃうの!?」
ソウケン「‥‥‥大きな声を出すな 近在の住人に迷惑がかかる」
カズラマル「もともと、その予定はあったのだ 我が一族に伝わる修行の都合でな」
フォルス「ソウケン‥‥‥本当なの?」
ソウケン「‥‥‥ああ」
カズラマル「本来であれば、すでに首に縄をかけて連れ帰っておるところだが
      本人の嘆願と、一連の戦いの激化により先送りにされてきた」
フォルス「そう、か‥‥‥ ぜんぜん気づかなかった‥‥‥」
ソウケン「私はまだ、この世界を離れるつもりは‥‥‥」
カズラマル「幼き(わっぱ)ではないのだ、我侭を繰り返すものではない」
ソウケン「‥‥‥はい」
フォルス「僕たちのために、残るって言ってくれてたんだよね
     ありがとう でも‥‥‥うん、大丈夫だよ
     ソウケンが帰ってしまっても、僕たちはちゃんとやっていけるから
     だから‥‥‥安心して、故郷に帰っていいよ」
ソウケン「貴様は‥‥‥まさか、私を、必要ないというのか?」
フォルス「それは、
     ‥‥‥そんなこと‥‥‥」
カズラマル「む?」
フォルス「‥‥‥そうだ、ね ソウケンがいなくても、大丈夫」
ソウケン「そうか‥‥‥ 理解した
     未熟とばかり思っていた相手が、こうして自分の手を離れるところを見ると
     ‥‥‥感傷的な気分になるものだな‥‥‥」
フォルス「ソウケン」
ソウケン「帰って、休む 決戦は目の前なのだからな
     貴様も、よく体を休めておけ 私からの、最後の小言だ‥‥‥」
フォルス「‥‥‥うん」
カズラマル「む‥‥‥むうう?」

なんだろう‥‥‥心が、妙にざわめいている
こんな気持ちで、明日の戦いは大丈夫なんだろうか‥‥‥



好感度3
ソウケン「‥‥‥」
カズラマル「‥‥‥」
フォルス「あれ? カズラマルさん?」
カズラマル「む? ‥‥‥おお、貴様か 今宵も夜の散策か?」
フォルス「こんばんは、気持ちのいい夜ですね ‥‥‥空を見上げなければ、ですけど」
カズラマル「ふむ、確かにな‥‥‥ 月があのざまでは、落ち着いて酒にも酔えん
      つまり明日の戦いは、全ての世界の酒の味に関わる大決戦ということだ
      何があっても負けられぬな!」
フォルス「‥‥‥お酒のためなんだ‥‥‥」
ソウケン「大祖父殿、あまりふざけていると また空狐殿にお報せすることになるが」
フォルス「‥‥‥ええと?」
ソウケン「比類なき大妖怪と称えられる大祖父殿にも、頭の上がらぬ相手はいるということだ
     それはさておき、先ほどの話だが‥‥‥
     大祖父殿、戦いの後すぐに、というのは さまざまな都合が悪い
     しばしの時をいただくわけには いかぬだろうか‥‥‥?」
カズラマル「時ならばすでに、充分すぎるほど与えておるだろう
      もう少しだけ見守りたい、というのが貴様の言い分であったな
      その言葉に見合う時間は、すでに流れた そうは思わぬか?」
ソウケン「それは‥‥‥確かに‥‥‥」
フォルス「ええと、何の話をしてるんでしょう?」
ソウケン「私が、鬼妖界へ帰る話だ」
フォルス「あ、なるほど‥‥‥
     って、ええええ!? ソウケン、帰っちゃうの!?」
ソウケン「‥‥‥大きな声を出すな 近在の住人に迷惑がかかる」
カズラマル「もともと、その予定はあったのだ 我が一族に伝わる修行の都合でな」
フォルス「ソウケン‥‥‥本当なの?」
ソウケン「‥‥‥ああ」
カズラマル「本来であれば、すでに首に縄をかけて連れ帰っておるところだが
      本人の嘆願と、一連の戦いの激化により先送りにされてきた」
フォルス「そう、か‥‥‥ ぜんぜん気づかなかった‥‥‥」
ソウケン「私はまだ、この世界を離れるつもりは‥‥‥」
カズラマル「幼き(わっぱ)ではないのだ、我侭を繰り返すものではない」
ソウケン「‥‥‥はい」
フォルス「僕たちのために、残るって言ってくれてたんだよね
     ありがとう でも‥‥‥うん、大丈夫だよ
     ソウケンが帰ってしまっても、僕たちはちゃんとやっていけるから
     だから‥‥‥安心して、故郷に帰っていいよ」
ソウケン「そうか‥‥‥ 理解した
     未熟とばかり思っていた相手が、こうして自分の手を離れるところを見ると
     ‥‥‥感傷的な気分になるものだな‥‥‥」
フォルス「ソウケン」
ソウケン「帰って、休む 決戦は目の前なのだからな
     貴様も、よく体を休めておけ 私からの、最後の小言だ‥‥‥」
フォルス「‥‥‥うん」

なんだろう‥‥‥心が、妙にざわめいている
こんな気持ちで、明日の戦いは大丈夫なんだろうか‥‥‥

ED

好感度4・5
ソウケン「‥‥‥しばらく、シルターンに戻ることになった」
フォルス「うん‥‥‥前に、そう言ってたね」
ソウケン「誤解してほしくはないが、これは私自身の意思で決めたことだ
     今回の件で、自分の未熟さを改めて痛感した
     ゆえに、心身ともに鍛え直すため、しばらく修行に戻るべきではないかとな」
フォルス「ん‥‥‥そっか、ソウケンがそう言うなら もう引き留めてもしょうがないよね
     さびしいけど、あきらめるしかない、のかな‥‥‥」
ソウケン「あ、いや、その話なのだが‥‥‥」
フォルス「え?」
ソウケン「その‥‥‥なんというか、だな、まだもう少し続きがあるのだ
     これは、その、私からというより、大祖父殿からの提案という形になるのだが、」
フォルス「え、なに? カズラマルさんから?」
ソウケン「そう、大祖父殿はその、貴様のことを なぜか、いたく気に入ったようでな、
     どうせ戻ってくるなら連れてこいと言い出したのだ」
フォルス「えっ‥‥‥」
ソウケン「だから、その、嫌だろうとは思うが‥‥‥」
フォルス「シルターンに!? いいの!? 行きたい、すごく行きたい!!
     ソウケンの他のご家族にも会えるんだろ? うわ、どうしよう、すごく楽しみだ!」
ソウケン「‥‥‥なぬ?」
フォルス「あ、でもどうしよう シルターンが故郷のソウケンはいいけど
     僕たちが界境を越えるのは、そう簡単には許可とかとれないんじゃないかな‥‥‥」
ジンゼルア総帥「ああ、召喚師フォルス、こんなところにいたのか
        お主と響友の二人分、鬼妖界への渡航許可を出しておいた
        書類は管理官に預けておいたから、あとで受け取っておけ
        まったく‥‥‥お前たちの立場を考えれば、本来絶対に許されん話だぞ?
        鬼妖界の重鎮であるカズラマル殿と龍の姫君の強い力添えがあってこそのものだ
        そのことをくれぐれも肝に銘じて、羽目を外さぬようにするのだぞ
        まったく‥‥‥あの方々も、何を考えているのだか‥‥‥」
フォルス「‥‥‥」
ソウケン「‥‥‥」
フォルス「えっと‥‥‥許可、おりちゃった‥‥‥みたい?」
ダイス「なぜかボクの分までね‥‥‥」
ソウケン「大祖父殿‥‥‥これは、いくらなんでも、あまりに強引な‥‥‥」
フォルス「あはは、どうしよう、楽しみすぎて、どきどきしてきた
     修行って、どんなことするの? ソウケン、一度やったことあるんだろ?
     あ、でも、カズラマルさんに教わるまで何も聞かないでいたほうがいいのかな
     じゃあ、ソウケンの家族ってどんな人たち? おみやげ、どんなのが喜ばれるかな?」
ソウケン「それは‥‥‥
     ‥‥‥何も、いらぬだろう 私が貴様を連れていけば、それだけで十分だ
     なにせ古い家だ、遠方の客人こそが何よりの酒の肴となるだろう」



好感度3
ソウケン「‥‥‥しばらく、シルターンに戻ることになった」
フォルス「うん‥‥‥前に、そう言ってたね」
ソウケン「誤解してほしくはないが、これは私自身の意思で決めたことだ
     今回の件で、自分の未熟さを改めて痛感した
     ゆえに、心身ともに鍛え直すため、しばらく修行に戻るべきではないかとな」
フォルス「ん‥‥‥そっか、ソウケンがそう言うなら もう引き留めてもしょうがないよね
     さびしいけど、あきらめるしかない、のかな‥‥‥」
ソウケン「あ、いや、その話なのだが‥‥‥」
フォルス「え?」
ソウケン「その‥‥‥なんというか、だな、まだもう少し続きがあるのだ
     これは、その、私からというより、大祖父殿からの提案という形になるのだが、」
フォルス「え、なに? カズラマルさんから?」
ソウケン「そう、大祖父殿はその、貴様のことを なぜか、いたく気に入ったようでな、
     どうせ戻ってくるなら連れてこいと言い出したのだ」
フォルス「えっ‥‥‥」
ソウケン「だから、その、嫌だろうとは思うが‥‥‥」
フォルス「シルターンに!? いいの!? もちろん行ってみたいよ!」
     あ、でもどうしよう シルターンが故郷のソウケンはいいけど
     僕たちが界境を越えるのは、そう簡単には許可とかとれないんじゃないかな‥‥‥」
ジンゼルア総帥「ああ、召喚師フォルス、こんなところにいたのか
        お主と響友の二人分、鬼妖界への渡航許可を出しておいた
        書類は管理官に預けておいたから、あとで受け取っておけ
        まったく‥‥‥お前たちの立場を考えれば、本来絶対に許されん話だぞ?
        鬼妖界の重鎮であるカズラマル殿と龍の姫君の強い力添えがあってこそのものだ
        そのことをくれぐれも肝に銘じて、羽目を外さぬようにするのだぞ
        まったく‥‥‥あの方々も、何を考えているのだか‥‥‥」
フォルス「‥‥‥」
ソウケン「‥‥‥」
フォルス「えっと‥‥‥許可、おりちゃった‥‥‥みたい?」
ダイス「なぜかボクの分までね‥‥‥」
ソウケン「大祖父殿‥‥‥これは、いくらなんでも、あまりに強引な‥‥‥」
フォルス「あはは、どうしよう、楽しみすぎて、どきどきしてきた
     修行って、どんなことするの? ソウケン、一度やったことあるんだろ?
     あ、でも、カズラマルさんに教わるまで何も聞かないでいたほうがいいのかな
     じゃあ、ソウケンの家族ってどんな人たち? おみやげ、どんなのが喜ばれるかな?」
ソウケン「それは‥‥‥
     ‥‥‥何も、いらぬだろう 私が貴様を連れていけば、それだけで十分だ
     なにせ古い家だ、遠方の客人こそが何よりの酒の肴となるだろう」



響友差分
ダイス「なぜかボクの分までね‥‥‥」
カゲロウ「‥‥‥って、おお! おいらも行っていいのか、シルターン!」
スピネル「なぜか、わたしの分まで出てましたね‥‥‥」


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Last-modified: 2016-06-16 (木) 00:00:00