情報提供(敬称略):M.S.


いつもそんな感じなの?

セイロン「おお、ラージュ殿。そこにいたのか。」
ラージュ「セイロン、どうしたんだよ。こんなところまで。」
セイロン「いやなに、大したことではない。
     この世界に来てからは日々忙しく、きちんと話をする時間も持てていなかったであろう?
     ラージュ殿とは一度こうして腰を据えて話してみたい、と思っておったのだ。」
ラージュ「確かに、そうだな。」
セイロン「‥‥‥ふむ。夜空がよく見えるな。我もしばらくここにいるとしよう。」

(セイロン、座る)

ラージュ「‥‥‥なあ、セイロン。
     それならオレからも聞いてみたいことが、あるんだけどさ。」
セイロン「どうしたのだ?」

ラージュ「ちょっと気になってたんだけど‥‥‥。」

  •  いつもそんなしゃべり方なのか?
    セイロン「そうだが。なぜそんなことを聞くのだ?」
    ラージュ「‥‥‥いや‥‥‥ちょっと変わってるかなって‥‥‥。」
    セイロン「我の話し方がおかしいとそう感じているというのか?
         我の周囲の者たちは皆似たよな話し方をしている故、疑問に思ったこともないが‥‥‥。
         ‥‥‥うむ。そなたも我の口調を真似するがよかろう。」
    ラージュ「えっ? なんでそうなるんだよ!?」
    セイロン「気になったということは、気に入ったということであろう、存分に真似るがよい。
         はっはっは!」
    ラージュ「‥‥‥いや、遠慮しておくよ‥‥‥。
         (なんていうか‥‥‥。真面目に相手してるとすごく疲れそうだな‥‥‥)」

  •  いつもそんなに偉そうなのか?
    セイロン「む。偉そうとは無礼な。
         実際に我は偉いのだ。未来の龍人族の長であるぞ!」
    ラージュ「‥‥‥はあ‥‥‥。未来の、ね‥‥‥。」
    セイロン「失礼だがラージュ殿。ことの重要性が分かっていないようだな。
         こうした縁が無ければ、我とそなたは一生交わることもなかったということだぞ。」
    ラージュ「‥‥‥うん‥‥‥そうかもね‥‥‥。」
    セイロン「もっと光栄に思ってくれてよいのだぞ。はっはっは!」
    ラージュ「(なんていうか‥‥‥。真面目に相手してるとすごく疲れそうだな‥‥‥)」

御使いの務め

ラージュ「あれ、先客がいる‥‥‥。」
セイロン「やあ、ラージュ殿。お邪魔させてもらっているぞ。」
ラージュ「別に俺専用の場所ってわけでもないし、気にしなくていいけどさ。」
セイロン「そう言ってもらえると助かるが、一応筋は通しておかねばな。」
ラージュ「あはは‥‥‥そういえばさ、
     あんまりちゃんと聞いたことがなかったけど、セイロンは『御使い』ってやつなんだよな。」
セイロン「うむ。」
ラージュ「名前だけ聞いてもあんまりピンとこないんだけど、結局どういうものなんだ?」
セイロン「‥‥‥うーむ。」
ラージュ「あっ、言いたくないなら無理に言う必要はないよ。ちょっと興味があっただけだから。」
セイロン「いや。ラージュ殿にも判るよう、どう話せば良いものかと思案しているのだ。」
ラージュ「なんか引っかかる言い方だけど‥‥‥。」
セイロン「ふむ、一言で言うと、『至竜を支え助けるもの』であるな。」
ラージュ「ふうん。
     『至竜』ってやつのお世話をするってことか? なんか大変そうだな‥‥‥。」
セイロン「然り。だからこそ『御使い』も四人いるのだ。
     お互いを気遣い、支え合う。
     その存在がなければ『御使い』は。『御使い』としての使命を全うできぬ。
     ‥‥‥まあ‥‥‥『御使い』であることに、囚われすぎる者もいないわけではない。
     御使いの長である男など、真面目すぎて何事にも手を抜けぬ性格だったからな。
     見てるこちらも気が休まらんかったよ。そういうこともある。」
ラージュ「そっか。でもセイロンはその人のこと、信頼していたんだろ?」
セイロン「当然だ。『御使い』なのだから。」
ラージュ「‥‥‥そうだよな。なんか、そういう信頼関係ってうらやましいな。」
セイロン「‥‥‥。‥‥‥信頼は積み重ねるものであるからな。
     そなたが周囲からもっと信頼されたいと思うならば、あせらずゆっくり成長してゆけばよいだけだ。」

演舞

セイロン「‥‥‥はっ、ふんっ、はっ。」
ラージュ「おっ、なんか格好いいな。」
セイロン「おお、そなたか。」

(セイロン、座る)

ラージュ「セイロン、今やってたのって?」
セイロン「拳法の『型』を稽古しておったのだ。
     日々の精進を怠るようでは一流の武術家とは、呼べぬからな。」
ラージュ「武術の訓練だったのか。まるで踊りを見ているみたいで、綺麗だったな。」
セイロン「はははっ、そうであろう。ではどうだ、試しにラージュ殿もやってみては。」

ラージュ「えっ? オレも?」

  •  一緒にやってみる。
    セイロン「うむ、感心感心。では我に続くがよかろう。よく見て動きをまねるのだ。」
    ラージュ「よし!」

    セイロン「まずは少しゆっくりとやってみせよう。武器を持っている時とは違うから、注意されよ。」
    ラージュ「今後、素手で戦うこともあるかもしれないからな。」
    セイロン「そうであるな。色々知っておいて損はなかろう。」

    ラージュ「よっ、はっ!」
    セイロン「‥‥‥うむ。なかなか呑み込みが早いな。」
    ラージュ「っ! そっそうか?
         はあ‥‥‥はあ‥‥‥。」
    セイロン「‥‥‥はあ、すっかり汗をかいてしまったな。それにしてもラージュ殿は筋がいい。驚いたぞ。」
    ラージュ「ありがとう。この稽古、また参加してもいいかな?」
    セイロン「もちろんだ。歓迎する。 我も精進せねばな。」

  •  そんなのが役に立つのか?
    ラージュ「そんなのが役に立つのか?」
    セイロン「役に立つかどうか、自身で試してみればよかろう?」
    ラージュ「へっ、それなら、受けて立つぜ!」

    セイロン「ではそちらから仕掛けてくるがよい。」
    ラージュ「言ったな? とう! えりゃ!」
    セイロン「‥‥‥おおっと。そんな動きではかすりもせぬぞ?」
    ラージュ「くっそー!!」

    ラージュ「‥‥‥ぐっ!
         ‥‥‥あれ‥‥‥オレ‥‥‥。」
    セイロン「‥‥‥すまぬ。少々力が入りすぎたようだ。気絶させるつもりはなかったのだが‥‥‥。」
    ラージュ「セイロンの動き確かにすごかったよ。この稽古、また参加してもいいかな?」
    セイロン「もちろん歓迎する。 我も精進せねばな。」

わかっていても心を開けぬ

  ※ 第19章の夜以降
ラージュ「セイロン、またここにいたのか。探したよ。」
セイロン「ああ、すまぬすまぬ、夕涼みをしていてな。それで、何用かな?」
ラージュ「ああ、二人きりで聞きたいことがあってさ。」
セイロン「ふむ、なんであるか? 話してみよ。」
ラージュ「単刀直入に聞くぞ。セイロンはギアンのことが嫌いなのか?」
セイロン「!!! ‥‥‥なぜそのようなことを‥‥‥!」
ラージュ「あっいや、責めてるわけじゃない。隠そうとしていることもなんとなくわかってるんだ。
     ただ、微妙に態度や目線に出てたからさ‥‥‥。」
セイロン「‥‥‥そうか‥‥‥隠し通せているつもりだったが、まだ修行が足りぬようだな‥‥‥。
     ‥‥‥頭ではわかっているのだ。あのギアンと我の知っているギアンとは違うのだと。
     ‥‥‥しかし‥‥‥。あの顔を見ると思い出してしまうのだ。
     あの者に、隠れ里が襲われたこと、それが先代の至竜が自害する遠因となったことを‥‥‥。」
ラージュ「‥‥‥ごめん、オレ事情も知らずに‥‥‥。」
セイロン「‥‥‥いや。謝らねばならぬのはこちらだ。我の態度で不愉快な思いをしている者がいるであろう。
     この気持ちはあくまで我個人のものだ。皆に迷惑をかけるようなことはしたくない。
     言いづらいことを言わせたな。その勇気に感謝する。」
ラージュ「そんな、頭を上げてくれ。」

 セイロン‥‥‥。内心ものすごく複雑なんだろうな‥‥‥。

我の信念を貫く

セイロン「ラージュ殿、やはりここにいたのか。」
ラージュ「セイロン‥‥‥うん、ちょっと考えごとをしてた。いよいよ明日だな‥‥‥。」
セイロン「そうだな。‥‥‥それにしてもそなたには色々と学ばされた。」
ラージュ「へ? 何を?」
セイロン「そんな間抜け面をするな。
     理不尽な運命に屈せず、強くて前向きな心根。生まれついてのものなのか、自らで獲得したのか、
     それはわからぬが、願うならば、御子殿にもそうあってほしい、と‥‥‥。
     そなたを見て思ったのだ。」
ラージュ「そう真っ直ぐに褒められると、さすがに照れるな‥‥‥。」

(セイロン、座る)

セイロン「‥‥‥‥‥‥。」
ラージュ「どうした? 浮かない顔だけど、まだ何かあるのか?」
セイロン「‥‥‥うむ。戻ってからのことを考えると不安になってしまうのだ。」
ラージュ「ははっ、弱音を吐くなんて珍しいじゃないか。オレ、セイロンはいつも偉そうにしててほしいな。」
セイロン「偉そうにしているつもりはないのだが‥‥‥。常に責任は感じているな。不安にだってなる。」
ラージュ「そんなのさ‥‥‥本当のことを言うと、俺だって不安だよ。
     だけどさ。やるしかないんだし仕方がないだろ? だったら、覚悟を決めるしか無い。
     ‥‥‥俺の覚悟なんてその程度のもんだよ。」
セイロン「そういうことを自然に言うことができる。そこがラージュ殿の尊いところなのだ‥‥‥。
     ‥‥‥はは。我としたことが。いいところは見習えばよいだけではないか。
     先ほどはつまらぬことを言ってしまった。我も明日は全力を尽くそうぞ。
     戦いの後も我は我の信念を貫く。そういうことだな、ラージュ殿。」
ラージュ「それでこそセイロンだ。明日は頼りにしてるぜ。」

最終決戦

(最終戦前)
ラージュ「オレたちは、消えることにもう怯えたりなんかしない。 たとえ消えてしまっても、みんなの魂に生き続ける!
     魂に強く刻まれた想いはけして消えない。 オレはそれを信じる!!」
セイロン「不届き者などに屈する我らではない! 覚悟せよ、『異識体』!」

(最終戦後)
セイロン「名残惜しいが‥‥‥達者でな。ここでの記憶は、我の宝だ‥‥‥!
     我は貴殿のことを忘れはせぬ。魂に刻み、絶対に忘れぬ記憶としよう。」
ラージュ「オレだって‥‥‥! 絶対に‥‥忘れるもんかっ!」

ラージュ「ありがとう‥‥‥。」

エンディング「店主殿、おおいに嘆く」

【忘れじの面影亭】

フェア「よしっ、野菜の下準備はこれで完了!」
ミルリーフ「ママァ、お鍋が吹いてるー!」
フェア「わっ、大変! 火を弱めなくちゃ!」
ミルリーフ「ママァ、お魚こげてるー!」
フェア「ちょっ、ちょっと待って! 今、そっちに行くからっ!」
セイロン「おやおや。店主殿は、今日も忙しそうだな。」
フェア「あっ、セイロン! いいところに!」
セイロン「我の舌が必要か? よかろう、味見なら任せたまえ。」
フェア「違うわよ! どうせ、ヒマなんでしょ? こっちに来て、手伝いなさいよ。」
セイロン「どうせ、とは店主殿も口が悪い‥‥‥。こう見えて、我は我で忙しいのだよ。」
フェア「いつも、フラフラしてるようにしか見えないんだけど‥‥‥ねっ、ミルリーフ!」
ミルリーフ「うん、見えない。」
セイロン「あっはっはっは!
     御子殿にまで、そう見られていたとは‥‥‥。これは、愉快愉快!」
フェア「全然、愉快じゃな〜いっ! すぐ、笑って誤魔化そうとするんだからっ!
    働かざる者、食うべからずよ。働かないなら、出て行ってもらうから。」
セイロン「な、なんと!?
     し、しかしだ、店主殿。手伝えと言われても、ここは店主殿の戦場であろう。
     とてもそなたの役に立てるとは、思えぬのだが?」
フェア「料理以外にも、やることはたくさんあるの!
    皿洗いでしょ、ゴミ捨てでしょ、それに、店内の掃除‥‥‥」
ミルリーフ「わぁ、いっぱいあるねぇ〜。」
セイロン「そ、それでは、ただの召使いのようではないか。
     な、なあラージュ殿? ラージュ殿は我の味方をしてくれるであろう?」
ミルリーフ「‥‥‥えっ?」
フェア「んっ?」
セイロン「‥‥‥おや?」
フェア「ラージュって、誰のこと? セイロン、誰かと間違えてない?」
セイロン「いや、そんなことは‥‥‥。
     ‥‥‥ふむ。」
ミルリーフ「ここには、ママとミルリーフとセイロンしかいないよ?」
セイロン「ああ、そのようだな。
     分かっていたはずなのだが、何故か、その名を口にしてしまったのだよ。」
フェア「もう、そんなこと言って、話を逸らそうとしたんじゃないの?」
セイロン「はっはっは! そうかもしれぬな。」
フェア「セイロン〜〜ッ!」

セイロン「(‥‥‥ラージュ)
     (聞き覚えの無い名だ。それなのに何故、我はその名を知っているのだ?)
     (‥‥‥だが、とても懐かしい)
     (気のせいだろうか。我は、とても大切なことを忘れているような‥‥‥)」

セイロン「――!!
     あの笑顔、あの声、あの仕草‥‥‥。
     ラージュ殿。そう、ラージュ殿だ! 我はその名を知っている。
     ‥‥‥とても、大切な友人の名だ。
     すまぬな、ラージュ殿。
     決して忘れぬよう、この胸に刻み込んだはずだったのに‥‥‥。
     そなたにもらった想いまでも、忘れてしまうとは。
     何故、今まで忘れていたのだ? 元の世界に戻ってきたせいなのか‥‥‥。」

 だけどさ。やるしかないんだし仕方がないだろ? だったら、覚悟を決めるしか無い。

セイロン「ラージュ殿、アム殿、そしてイスト殿は本当に、あの世界と共に消滅してしまったのか。
     ‥‥‥だから、我も思い出せなかったのかもしれぬ。
     初めから、存在していなかったかのように。
     だが‥‥‥我は思い出した。彼らと過ごした、日々のことを。
     そして、あの時の後悔を。
     ‥‥‥我は、何も出来なかったのだ。大切な友のために、何も出来なかったのだよ。」

セイロン「‥‥‥‥‥‥。」
フェア「ねぇ、セイロン聞いてる?」
セイロン「‥‥‥‥‥‥。」
フェア「セイロン!」
セイロン「‥‥‥むっ?」
フェア「むっ、じゃないわよ。ぼーっとして、どうかしたの?
    ‥‥‥なんか、深刻そうな顔してるしさ。」
ミルリーフ「セイロン、元気ない?」
セイロン「‥‥‥店主殿、御子殿。実は、今し方‥‥‥。」
フェア「‥‥‥?」
セイロン「‥‥‥いや、なんでもない。」
フェア「え〜っ! なによ、それ!」
セイロン「あっはっはっ、すまぬ。
     我としたことが、何を言おうとしたのか、忘れてしまったのだよ。」
フェア「も〜‥‥‥思わせぶりな言い方しないでよね。」
セイロン「(2人が、あの世界のことを覚えておらぬのなら、そのまま忘れていた方がよい‥‥‥)
     (辛い思いも、思い出させてしまうだろうからな)」

 ――だが。我は、我だけは忘れるわけにはいかぬ。
 彼らが生きていた証を、彼らと紡いだ絆を。
 共に過ごした記憶こそが、我とラージュ殿を繋ぐ一筋の道となるはずだから。
 ‥‥‥我は決して忘れない。異界の盟友たちの存在を。
 思い返すと、我はそなたに助けてもらってばかりだったな。
 ‥‥‥感謝しておるよ。そなたに出会えたこと、友になれたこと。

ラージュ「オレも、セイロンに会えてよかったよ。オレの方こそ、ありがとう、セイロン。」

セイロン「‥‥‥ッ!?」
フェア「どうしたの? 突然、ふりむいたりして。」
セイロン「いや、今そこに‥‥‥‥‥‥フッ、そうか。
     店主殿、すまないが店の手伝いはまた、次回にとっておこうと思うのだよ。」
フェア「ハァ!?」
セイロン「大事な用を思い出したのでな。はっはっはっ!」
フェア「こ、こら〜! 逃げるな〜〜ッ!」

 ――満点の星空の下で、我は想う。
 きっと今頃、そなたも我と同じ星を見上げているのではないだろうかと。
 信じられないだろうが、感じるのだよ。‥‥‥そなたの気配を、な。
 それは、同じ時では無いのかもしれない。
 互いの時間が重なり合うことは、もう二度と無いのかもしれない。
 ‥‥‥それでも、よいのだ。
 満点の星空の下で、我は願う。
 そなたのいる世界が、幸せであるようにと――‥‥‥。

 END


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