情報提供(敬称略):湧上

第2話

フォルス「ふぅ‥‥‥ 今日も一日、いろいろあったなぁ
     ちょっと星でも見てから 家に帰ろうかな」
シーダ「おんや?」
フォルス「あれ? どうしたのアネゴ、こんなところで」
シーダ「そりゃこっちのセリフだよ 子どもはもう寝る時間だろ?」
フォルス「はは‥‥‥ アネゴにだけは言われたくないな、それ
     夜の一人歩きは危ないんじゃないの、一応、女の子なんだしさ」
シーダ「お? そういう気遣いもできるんだな でも一応は余計だ
    今日はまあ、思うところがいろいろあってな 部屋にいると落ち着かなかった
    どこかでのんびり月でも見上げながら 物思いにふけろうかと思ったわけだ」
フォルス「夜空を見上げて考え事するアネゴか‥‥‥ 絵にだけはなりそうな光景だね」
シーダ「ケンカ売ってんのかお前?」
フォルス「まさか、そんなわけがないだろ アネゴは美人だなって話だよ」
シーダ「‥‥‥そーゆーのを本心から言えるのが お前の怖いとこだよな
    ああ、そういえば今日はまたフローテが世話をかけたな」
フォルス「ん? ああ、別にいいよ 世話ってほどのこともしてないし
    フローテも、僕にとっては大事な妹みたいなものだからね」
シーダ「‥‥‥あの見た目と性格だ、あいつを妹扱いすんのは、アタシとお前くらいだろうな
    本性がちびっこい悪魔だってことは、アタシらしか知らないわけだしな」
フォルス「そうだね、だからこそ僕たちが優しくしてあげないと」
シーダ「まったく、どこまでも子どもに弱いやつだな
    でもな、あまりうちのフローテは甘やかさないでくれ
    これ以上あいつがあんたの方に懐くと、アタシの立場ってものがなくなる」
フォルス「あはは、まさか、そんな」
シーダ「冗談だよ‥‥‥ああいや、ほんの少しくらいは本気が混じってるかな?
    ふわぁ‥‥‥ さすがに、そろそろ眠くなってきた
    アタシは帰る お前も、あまり夜更かししないで、早く寝ろよ」
フォルス「ああ、わかってるよ それじゃ、また明日」
シーダ「おう、また明日」

まったく、アネゴにはかなわないな……

第3話

シーダ「よっ、お邪魔するよ」
フォルス「アネゴ‥‥‥」
シーダ「あいっかーらずお前、こーゆートコ好きだよなー?」
フォルス「フローテは?」
シーダ「もちろんベッドの中さ あの子、悪魔のくせに夜ふかしは苦手だからね
    それとも、アタシと二人での月見は不満か?」
フォルス「‥‥‥そんな怖いことは言わないけどさ、もちろん」
シーダ「どうせあんたのことだから、今日のことでごちゃごちゃ考えてるだろ
    そういうときに一人になるとな、よけいに変な考えしか浮かばないんだ
    相談しろとは言わないから、悩むなら隣に誰かいる時にしな」
フォルス「‥‥‥それを言いに、わざわざここまで来てくれたの?」
シーダ「まあ、だいたいそんなもんだ ん? 何かおかしいか?
    アタシはアンタたちの「アネゴ」だからな 心配する権利ってもんがある
    ‥‥‥何笑ってんだ?」
フォルス「あはは、いや、何でもないんだ
    ただちょっと、こういうのって嬉しいなって思っただけで」
シーダ「そか
    よくわからんけど、元気が出たなら何よりだ」
フォルス「うん‥‥‥そうだね」

ほんと、アネゴにはかなわないな‥‥‥

第4話

シーダ「聞いたぞー 学園に行ってきたんだって?
    やっぱりあれか? かわいい後輩達にきゃーきゃー言われて囲まれてきたのか?」
フォルス「‥‥‥いやあ、まあ‥‥‥ そんなに間違ってはいないかな‥‥‥」
シーダ「え、まじで?」
フォルス「物珍しい生き物ってことで、注目を集めてきたよ」
シーダ「へえー‥‥‥ お前たちがねえ?」
フォルス「シーダは、学園は出てないんだっけ?」
シーダ「ああ、そうだな アタシの師匠は、おふくろさ
    うちは、大昔から一本の樹を守り続けてる召喚師の一族でな?
    生まれた直後から、当然のように召喚師としての修行をやらされてたのさ」
フォルス「へえ‥‥‥英才教育だ」
シーダ「どうかねえ? よその教育と比べたこと、ねえからなあ
    それに、修行が完成するちょっと前に、家を飛び出しちまってね」
フォルス「えっ!?」
シーダ「正直なところ、実家で教えられたことを全部身につけてるわけじゃないのさ」
フォルス「じゃあ、フローテは‥‥‥」
シーダ「あの子と出会ったのも、家出中のことさ ‥‥‥まあ、いろいろとあってね
    そんなわけだから、まあ、古巣がこの街にあるお前たちのことは、
    ちょっと羨ましい‥‥‥かもしれないなー」
フォルス「‥‥‥あのさ、シーダ
     役者不足かもしれないけれど、僕たちは、シーダの同僚で後輩だし、
     友達みたいなものでもあると思ってるから、その‥‥‥なんていうかさ」
シーダ「‥‥‥ははっ なにいきなり、可愛いこと言ってんだ
    大丈夫、別に寂しいとかそういう気分になってるわけじゃねーから
    そのへんは、お前たちのおかげだ 感謝してるぞ?」
フォルス「え? あ、ああ、うん、どういたしまして‥‥‥?」
シーダ「しかし、同僚で後輩で友達みたいなもの、か あと一種類言えないあたりが、お前らしいな」
フォルス「え? 何か足りなかった?」
シーダ「別に、大したことじゃない
    ただ、将来お前に口説かれる女は大変だなと心配になっただけさ」
フォルス「ええ?」
シーダ「さって、寝るか 夜風は身体に毒だしな
    それじゃまた明日、任務で会おうな‥‥‥ご同輩?」
フォルス「あ、うん、おやすみ‥‥‥」

シーダの昔のことなんて、初めて聞いたな‥‥‥

第5話

シーダ「聞いたぜ聞いたぜ? 新しく誓約した子、おまえの後輩なんだって?
    なあなあ、どんな子だ? 元気か? 強いか? やってけそうか?」
フォルス「う、うーん‥‥‥ 元気な子、ってのは間違いないかな
     そそっかしいところはあるけど、曲がったところのない、いい子だよ」
シーダ「あー、つまりそれは、あれか 新人のころのおまえみたいな感じか?」
フォルス「‥‥‥そういうのって、自分じゃよくわからないよ」
シーダ「素直で、かわいかったぜー? いじめがいがあった」
フォルス「そういうのを、本人に向かって言うのも、どうなんだろう‥‥‥」
シーダ「まあ、その子がどういう道を志すかはまだわかんねーか
    事件の中で誓約したっていうなら、今後どうするかなんて考えてないだろうけど
    万が一、うちに来たりしたら、にぎやかなことになりそうだな?」
フォルス「うーん‥‥‥」
シーダ「ん、どうした?」
フォルス「万が一っていうか‥‥‥まず間違いなく、ルエリィは僕と同じ道を目標にしてるから
     もしかしたら、そう遠くないうちに、本当にそういうことになるかもなって」
シーダ「へーえ? そりゃまた、ますます結構なこった
    その時には、せいぜいかわいがってあげなよ、セ・ン・パ・イ?」
フォルス「あはは‥‥‥」

ルエリィは、どういう道を選ぶんだろうな……

第6話

シーダ「ん? どうしたフォルス、今夜も散歩か?」
フォルス「うん、ちょっと眠れそうになくてね アネゴは‥‥‥」
シーダ「ん?」
フォルス「散歩にしては、ずいぶんと大きなバスケットを持ってきてるみたいだけど」
シーダ「おう、パイにケーキにシュークリーム、いろいろ取り揃えてあるぜ
    月でも見ながら食べようと思ってな お前も食べるか?」
フォルス「じゃあ、お言葉に甘えて、甘すぎなさそうなやつをひとつ」
シーダ「それじゃ、ほい サワーフルーツのパイだ」
フォルス「ありがと‥‥‥もしかしてまた、子どものふりしてもらってきたの?」
シーダ「いんや、普通に買ってきた
    というか、あんた、アタシのこと誤解してないか?
    アレをやるのは、誰かにちょっと甘やかしてほしいなって気分の時だけだぞ?」
フォルス「‥‥‥アネゴにも、そんな気分の時があるの?」
シーダ「アタシを何だと思ってるんだ こう見えても、年ごろの乙女だぞ」
フォルス「え? あー‥‥‥うん 確かに、そう見えるけど」
シーダ「なんだか、ずいぶんと含みのある言い方するねえ」
フォルス「そ、そうかな? 言葉そのままのつもりでいたけど」
シーダ「ふんだ、別にいいさ あんたにそういう期待はしてないし」
フォルス「‥‥‥でも、さ アネゴが本当に誰かに甘えたくなった時は
     僕らを頼ってくれると、嬉しいんだけどな」
シーダ「‥‥‥な、
    なに言ってんの、それじゃ立場があべこべでしょ
    アタシがアネゴで、あんたはその弟分
    甘えるのはあんたで、甘やかすのがアタシ、そうでしょ?」
フォルス「それはまあ、そうなんだけど、もしもの時の話だよ
     アネゴだって、女の子なんだし、さ」
シーダ「‥‥‥っ!、
    さ、寒くなってきたから 帰って寝る!」
フォルス「え? あ、うん おやすみ‥‥‥」

急に血相を変えて、どうしたんだろう、アネゴ‥‥‥

第7話

シーダ「うわ、ひでー顔」
フォルス「‥‥‥そんなに驚かれるほど、顔色悪いかな?」
シーダ「悪いっつーか、何つーか、もう生きてる人間に見えないんだが
    さっき別れる時にはふつうに見えたから油断したな‥‥‥
    みんなの前では、せいいっぱい、強がって見せてたってわけか」
フォルス「‥‥‥ギフトは、僕の、友達だったんだ
     でも、わからなくなった なんで、ギフトがあんなことをしたのか
     もしかしたら、友達だと思っていたのは 僕のほうだけだったのかもしれないって
     そう考えると、なんだか、足元がぐらぐらするような感じがして」
シーダ「やめろ」
フォルス「‥‥‥え?」
シーダ「そーいうことは、弱ってるときに考えるもんじゃない
    いたずらに自分を追い詰めるだけで、何の得にもなりゃしないんだ」
フォルス「でも‥‥‥」
シーダ「ああもう、めんどくさいやつだな ちょっと頭、下げろ」
フォルス「え?」
シーダ「いいから、早くしろ」
フォルス「うん‥‥‥」
シーダ「もうちょっと低く‥‥‥ ああ、そのへんだ」
(なでなで)
フォルス「‥‥‥え、ちょっと?」
シーダ「弱ってる時にはな、素直に誰かに甘えりゃいいんだよ
    一人でどうにか解決する、なんてタイプの人間でもないだろ、おまえは」
フォルス「いや、ちょっと‥‥‥ 頭なでられるのは、さすがに恥ずかしいよ
     小さな子どもじゃないんだからさ」
シーダ「気にすんな、どうせ誰も見ちゃいない
    こんな体じゃなければ、アタシの胸で泣け! とか言えたかもだな
    ちょっと惜しいことをした」
フォルス「あはは‥‥‥」
シーダ「どうだ? 少しは、楽になったか?」
フォルス「うん‥‥‥ ありがとう、もう大丈夫だよ
     っていうか、もう大丈夫にならないと、もっと恥ずかしいことをされそうだ」
シーダ「よくわかってるじゃないか
    次は子守歌を歌ってやろうと思ってたんだけどな
    まあ、こうなった以上はしょうがない そいつは次の機会に回すさ」
フォルス「次は、やるんだ‥‥‥?」
シーダ「もちろんだ それが嫌なら、悩みを抱え込むな」
フォルス「うん、わかってる」

アネゴには、どうしても子ども扱いされちゃうんだよな
だからかな‥‥‥子どもみたいに甘えたくなっちゃうんだ‥‥‥

第8話

シーダ「‥‥‥やっぱり、案の定だ 今夜も、ひどい顔してるな」
フォルス「だって‥‥‥」
シーダ「あの友人クンが変わってたことが、そんなに苦しいか?
    いや、そうじゃないか おまえのことだから、むしろ逆だろうな
    昔とほとんど変わってない友人が、あれだけの非道をやってのけたから、
    お前は、止められなかった自分を責めているわけだ
    まったく、どこまで損な性分をしてるんだかな」
フォルス「‥‥‥やっぱり、アネゴには、隠し事できそうにないな
     どうしてそんなに、簡単に見抜かれちゃうんだろ」
シーダ「そんなの‥‥‥ ずっと見てるからに、決まってるだろ」
フォルス「え?」
シーダ「ちょっとでも目を離したら、何をしでかして何を抱え込むか、わかったもんじゃない
    そんな危なっかしい後輩から目を離すなんて恐ろしいこと、できるわけないだろ」
フォルス「あ、そうか‥‥‥ そういう意味か
     ごめん、何かいま、恥ずかしい勘違いをしかけちゃったよ」
シーダ「ん? どういう勘違いをしたって?
    そのへん詳しく、話してごらん?」
フォルス「な、なんでもないよ 気にしないで」
シーダ「おやあ? ついさっき、隠し事はできないとか言ってなかったか?」
フォルス「それでも隠しておきたいことくらいあるんだよ!」
シーダ「‥‥‥だったら、隠す気がなくなるまでアタシは待つさ
    これでも、気の長いほうなんだ いつでも好きな時に、ぶちまけに来な」
フォルス「まったく‥‥‥本当に、アネゴにはかなわないな‥‥‥」

元気づけてくれるのはうれしいけど、からかうのは、勘弁してほしい‥‥‥

第9話

シーダ「まさか、あの子が冥土使いの口車に乗っかるとはねえ
    無事に帰ってきたからいいようなものの、心臓が壊れるかと思ったよ
    いつものことだけどさ、お前たちのコンビは危なっかしすぎる
    見てるこっちが、たまったもんじゃないんだ あまり心配かけんじゃないよ」
フォルス「ごめん‥‥‥」
シーダ「返事だけは立派だけどな、どうせ改めるつもりはないんだろ?」
フォルス「うん‥‥‥」
シーダ「‥‥‥この正直者め」
フォルス「ごめん
     今日、先生‥‥‥大校長に冥土召喚術のことを聞いて、改めて思ったんだ
     あの力は絶対に間違ってる、世界にあっちゃいけない力なんだ
     だからギフトのことは必ず止める
     きっと、それは、僕たちがやらなくちゃいけないことなんだ」
シーダ「今日はあの不思議な光のおかげで無事に済んだけどな、
    そもそもあの光が何なのか、どうして起こったのかもわからないんだ
    これからも同じように助かるとは限らないんだぞ?
    せめて、半歩退いてことに臨むくらいの慎重な姿勢でだなあ」
フォルス「やらなきゃいけないことが目の前にあったら、迷わずにやるよ
     シーダには悪いと思ってるけど、これだけは、譲れないんだ」
シーダ「はあ‥‥‥まったく、困ったやつだ」

あきれられるのも仕方がないかな、だってこれが僕なんだから‥‥‥

第10話

シーダ「おーい、まだ生きてるかー ‥‥‥って、こりゃ重症だ
    最近、夜中におまえに会っても全然イイ顔見られないんだよなあ
    たまにはこう、夜にふさわしい大人の時間とかは過ごせないもんなのかね」
フォルス「アネゴ‥‥‥」
シーダ「あーもう、わかったわかった、真面目にするから、そんな目で見るな
    それで? 久しぶりに会った大先輩に突き放されて、そんなにキツかったのか?」
フォルス「僕たちは、エルストさんに憧れて、エルストさんの言葉に導かれてここに来た
     召喚師になったのも、みんなのためにと言って戦ってきたのも、全部そうだよ
     なのに、今さら‥‥‥ それが全部間違いだった、なんてさ」
シーダ「いやはや、まったく、エルスト先輩は果報モンだね
    後輩にここまで慕ってもらえりゃ、先達としちゃ感無量だろうよ」
フォルス「茶化さないでよ」
シーダ「アタシは大真面目さ 本気でそう思ってんだ
    エルスト先輩は最高の果報モンで、ついでに最悪の不幸モンだってな」
フォルス「どういうこと?」
シーダ「どうもこうもないだろ
    たとえば、だ‥‥‥今、アタシが道を踏み外したら、おまえはどうする?
    召喚師の力を悪用すれば、盗みやら何やら、いろいろ犯罪もやりやすいしな
    響友のフローテも、あの通り素直な子だ 言いくるめるのは簡単だしな」
フォルス「そんな‥‥‥シーダがそんなことするはずないだろ?」
シーダ「いいから答えろ、仮定の話でいいんだ」
フォルス「‥‥‥そりゃ、止めるよ 当たり前じゃないか
     ぶん殴ってでも、ってわけにはいかないから、お尻を叩いてでも止める」
シーダ「だろうな ‥‥‥つまりアタシは、幸せモンなのさ
    道を間違えそうになった時に、尻を叩いてくれる後輩がいる
    でもな、エルスト・ブラッテルンにはそいつがいないんだ」
フォルス「‥‥‥あっ!」
シーダ「シーダがそんなことするはずない、って さっきおまえは言ったよな?
    エルストだって、そうだったはずだ あんなこと、するはずない人だったんだろ?
    だったら、おまえが正してやれ
    おまえたちの信じたエルストを、間違えちまったエルストにぶつけてやれ
    そいつは、たぶん、おまえたちにしかできないことだし
    エルスト本人も、そうされることを望んでいるはずさ
    ‥‥‥少なくとも、アタシは、そう思ってるよ」

僕たちの信じたエルストさんを、今のエルストさんにぶつける‥‥‥
ありがとう、シーダ おかげで大切なことを忘れずにすんだよ

第11話

シーダ「あの双子を見てたら、フローテと会う前の自分を思い出したよ」
フォルス「そういえば、アネゴの昔の話ってあまり聞いたことなかったな」
シーダ「いい女には謎が多いもんだからね、あまりぺらぺらしゃべることでもないし
    とはいえ、まあ、あんたにだったら話してもいいか」
フォルス「何か、秘密があるの?」
シーダ「まあね‥‥‥アタシの実家は、まあ、かなり古い召喚師の家柄でさ
    ウソかホントかは知らないけど、先祖はあの超律者と一緒に戦ったこともあるとか」
フォルス「‥‥‥すごいな、それは」
シーダ「まあ、先祖は先祖で、アタシたちはアタシたちだよ
    それでさ、古い召喚師にありがちな話で、うちにも一族の使命みたいなもんがあって
    それが、一本のでっかい樹を ずっと守護するってもんなんだよ」
フォルス「でっかい樹?」
シーダ「おまえもよく知ってる樹さ アルミネスの樹の原木だ
    天使アルミネが地上に遺した最後の奇跡 尽きることのない慈愛の象徴」
フォルス「‥‥‥うわああああ!? シーダの実家、ほんとにすごいよ!?」
シーダ「といっても、世界のあちこちに株分けされてるから、ありがたみはそこそこだ」
フォルス「‥‥‥セイヴァール学園の並木道にも、アルミネスの樹が並んでるね
     ありがたみがへってるとは、まったく思えないけど‥‥‥」
シーダ「生まれた時からずっと世話してたら、そんな気も失せるって
    周りに何もない田舎で、遊べるところは全然ないし
    たまの祭りも、みんなで芋をふかして食べるだけなんだぞ?」
フォルス「それはそれで、楽しそうではあるけど‥‥‥」
シーダ「まあ、そんな生活に嫌気がさして、飛び出してきたってわけだ
    いちおうあとのことは妹たちに任せてはきたけど
    ‥‥‥あいつら、元気でやってっかな
    アタシよか、よっぽどしっかりした連中だから 心配はいらないだろうけど」
フォルス「故郷が恋しい?」
シーダ「さすがに、何年も離れてれば あんな場所でも里心もつくわな
    真紅やブラッテルンの件もそろそろ落ち着くし 休暇をとって顔でも出すかねえ‥‥‥」

アネゴの実家か‥‥‥ 一度、見てみたい気もするな‥‥‥

第12話

シーダ「ほれ」
フォルス「うひゃあっ!?
     な、何!? いま首に触ってたの、何!?」
シーダ「そこまで驚くことないだろ、よく冷えたジュースだよ
    酒にしようかとも思ったんだが、今日はこっちのほうがいいだろ
    ほら、おまえの分」
フォルス「え? あ‥‥‥ありがと」
シーダ「それで、また夜中にひとりで考え事か? おまえも本当に飽きないな」
フォルス「ん‥‥‥今日はさ、特に衝撃の新事実がたくさんあったから
     正直、自分でも飲みこみきれてないような気がするよ」
シーダ「ま、そうだろうな こっちで考えていたより、事情は複雑だった
    まして、おまえは当事者の一人だ いろいろと考えちまうこともあるだろうさ」
フォルス「今日は、悩むな、とか言わないの?」
シーダ「そいつをどうしようか、いま考えてる最中さ
    言ったところで素直に聞くともあんま思えんし
    何より、いまおまえが悩んでおかないと、明日、あいつの力になれないだろうしな」
フォルス「スピネルのこと、だね」
シーダ「自分が何者なのかを見失って、いま一番不安になってるのはあいつだろう
    だからおまえも、今のうちに悩んでおいて、明日になったらちゃんと隣で支えてやれ
    なに、心配するな、共倒れになる前に、ちゃんとアタシが支えてやるから」
フォルス「‥‥‥アネゴには、ほんとに、甘えてばっかりだな‥‥‥」
シーダ「なーに言ってんだ こっちは全然、甘えられ足りないんだぞ
    もっとガンガンぶつかってこい、大丈夫、アタシゃそう簡単に壊れやしない」
フォルス「ほんと? じゃあ、遠慮なく」
(ぎゅうっ)
シーダ「わぷっ!? ちょ、ちょっと、おま‥‥‥」
フォルス「んー‥‥‥アネゴはあったかいなあ‥‥‥」
シーダ「‥‥‥おまえなあ、ひとを猫か何かと勘違いしてないか」
フォルス「ダメだった?」
シーダ「いや、別にいいさ たまには、こういうのも悪くない
    女としちゃ、少し複雑だけどな」

ありがとう、シーダ‥‥‥ おかげで、落ち着いたよ

第14話

好感度4・5
シーダ「よっ、やっぱりきたな、ヒマ人め」
フォルス「この時間にここに来れば アネゴに会えるってわかってるからね
     ちょっとくらい眠くたって来るに決まってるさ」
シーダ「なーに可愛らしいこと言ってくれちゃってんだか
    ま、せっかくの逢い引きも、空がこんなじゃムードも何もないけどさ」
フォルス「ああ‥‥‥ 今日のところはガマンだね
     明日はきっと、降るような星空だよ」
シーダ「そいつはいいな 雰囲気的には、申し分ない
    ‥‥‥なあ、もしかしたら いまさらなこと聞いてるみたいだけどさ
    おまえ、なんでアタシに会いにくるんだ?」
フォルス「え? 会いたいからだけど?」
シーダ「そうじゃない! いや、そうだけど違う!」
フォルス「‥‥‥どっち?」
シーダ「いい年した若い男には、もっと他に会いに行くべき女がいるんじゃないかって
    そういう話だ!」
フォルス「一番会いたいのはアネゴだけど、それじゃダメなの?」
シーダ「‥‥‥まさか、おまえ、こんくらいの年の子どもが趣味なのか‥‥‥?」
フォルス「いや、そうじゃなくて」
シーダ「そうだよな、おまえはアタシの正体を知ってるわけだし
    だからわかんないんだよ、なんでアタシなのか
    男ってのは、もうちょっと、素直で可愛い子を好むもんだろ?
    こういっちゃなんだけど、アタシの場合、可愛いのはこの見た目だけだぞ?」
フォルス「自信家なのかその逆なのか、いまいちわかりにくいこと言うね‥‥‥」
シーダ「でも、事実だ」
フォルス「まあ、確かにね アネゴが見た通りの女の子じゃないのは
     とてもよくわかってるよ」
シーダ「だったら‥‥‥」
フォルス「僕の知ってるアネゴは、とても優しくて、なのに繊細で傷つきやすい女の人なんだ」
シーダ「は?」
フォルス「いつも僕たちのことばかり気にして、自分のことはあとまわしにして、
     自分が支えてほしいときにも、誰かを支えてばっかりで、
     強いふりをするのに慣れすぎてしまって、いまさら誰にも甘えられない‥‥‥
     僕が好きになったアネゴは そんな素敵な女性なんだ」
シーダ「‥‥‥っ!?
    ‥‥‥はは、まったく、おまえってやつは
    まさか、それで口説き文句のつもりなのか?」
フォルス「ダメだった? これでもけっこう、勇気を振り絞ったんだけど」
シーダ「ダメに決まってる そんなんで落ちる女は、世界に一人だけだ
    ‥‥‥だから、いいな? アタシ以外には、絶対に言うんじゃないぞ」
フォルス「そんな予定はないし、その世界で一人にちゃんと届けばそれでいいかなって
シーダ「‥‥‥ずりーな、おまえ そこでこういうふうに笑うのかよ」
フォルス「え?」
シーダ「何でもない さ、帰って寝るぞ
    明日は、めちゃくちゃしんどい戦いが待ってるんだからな」
フォルス「うん、わかってるよ
     それじゃ、また明日」
シーダ「ああ、また明日、な」

アネゴ、耳まで赤くなってた
それに気づかれたくなくて、帰るって言いだしたんだろうな‥‥‥



好感度3
シーダ「よっ、やっぱりきたな、ヒマ人め」
フォルス「この時間にここに来れば アネゴに会えるってわかってるからね
     ちょっとくらい眠くたって来るに決まってるさ」
シーダ「なーに可愛らしいこと言ってくれちゃってんだか
    ま、せっかくの逢い引きも、空がこんなじゃムードも何もないけどさ」
フォルス「ああ‥‥‥ 今日のところはガマンだね
     明日はきっと、降るような星空だよ」
シーダ「そいつはいいな 雰囲気的には、申し分ない
    ‥‥‥なあ、もしかしたら いまさらなこと聞いてるみたいだけどさ
    おまえ、なんでアタシに会いにくるんだ?」
フォルス「え? 会いたいからだけど?」
シーダ「‥‥‥まさか、おまえ、こんくらいの年の子どもが趣味なのか‥‥‥?」
フォルス「いや、そうじゃなくて」
シーダ「そうだよな、おまえはアタシの正体を知ってるわけだし
    だからわかんないんだよ、なんでアタシなのか
    男ってのは、もうちょっと、素直で可愛い子を好むもんだろ?
    こういっちゃなんだけど、アタシの場合、可愛いのはこの見た目だけだぞ?」
フォルス「自信家なのかその逆なのか、いまいちわかりにくいこと言うね‥‥‥」
シーダ「でも、事実だ」
フォルス「まあ、確かにね アネゴが見た通りの女の子じゃないのは
     とてもよくわかってるよ」
シーダ「だったら‥‥‥」
フォルス「僕の知ってるアネゴは、とても優しくて、なのに繊細で傷つきやすい女の人なんだ」
シーダ「は?」
フォルス「いつも僕たちのことばかり気にして、自分のことはあとまわしにして、
     自分が支えてほしいときにも、誰かを支えてばっかりで、
     強いふりをするのに慣れすぎてしまって、いまさら誰にも甘えられない‥‥‥
     僕が好きになったアネゴは そんな素敵な女性なんだ」
シーダ「‥‥‥っ!?
    ‥‥‥はは、まったく、おまえってやつは
    まさか、それで口説き文句のつもりなのか?」
フォルス「ダメだった? これでもけっこう、勇気を振り絞ったんだけど」
シーダ「‥‥‥ずりーな、おまえ そこでこういうふうに笑うのかよ」
フォルス「え?」
シーダ「何でもない さ、帰って寝るぞ
    明日は、めちゃくちゃしんどい戦いが待ってるんだからな」
フォルス「うん、わかってるよ
     それじゃ、また明日」
シーダ「ああ、また明日、な」

アネゴ、耳まで赤くなってた
それに気づかれたくなくて、帰るって言いだしたんだろうな‥‥‥

ED

好感度4・5
シーダ「ところでフォルス、来週からしばらく休暇とれないか?」
フォルス「‥‥‥え、なに、いきなり? できないことはないと思うけど
     街に残ってた冥土は、アベルトたちの協力でほとんど片付けられたし、
     そろそろ第一線から外れていいって管理官さんが言ってたし」
シーダ「そか、よーしよし そしたら決まりだな」
フォルス「え、いや、いったい何の話してるの?」
シーダ「ああ、実はそろそろ、実家に顔を出そうと思ってたんだ
    前に話しただろ? うちはもともと、けっこう重たい使命を抱えた一族でさ
    アタシにも、実はけっこう面倒なお役目があったりすんのさ
    ちょいと長い家出の間、ずっとほったらかしてきたけど
    ‥‥‥今回がんばってるあんたを見てて、アタシらもちょっとは前を向こうかなって
    まあ、そう思ったワケ」
フォルス「お役目って‥‥‥じゃあもう、こっちには戻ってこれなくなったりとか‥‥‥」
フローテ「やめてよ、そんなぞっとしない話
     シーダの実家って、「大樹の守護者」のアフラーン一家なのよ?
     アルミネスの大樹のそばなんて、神聖っぽいし たぶん、悪魔の近づくところじゃないわ」
フォルス「あ、そういえば‥‥‥」
フローテ「‥‥‥べ、別に怖がってるわけじゃないのよ? ただほら、居心地悪そうじゃない
     シーダがどうしても帰りたいっていうから それなら、仕方が無いかしらねって」
シーダ「こいつ、ずっとアルミネスの樹を怖がって 反対してたんだけどさ
    どういう心境の変化か、条件つきでなら付き合ってもいいって言ってくれたのさ
    だったら、アタシも、そろそろ ちょっとは覚悟を決めるかねえって」
フローテ「ちょっ、ちがっ!」
フォルス「そっか‥‥‥ がんばったね、フローテ」
フローテ「‥‥‥だから、怖がってたわけじゃ‥‥‥」
シーダ「ま、お勤め自体は、三日もあれば終わる 大樹の簡単なお手入れだ
    面倒なのは、オヤジとか姉ちゃんとかに 子どものカッコで挨拶することだな」
シーダ「旦那候補も紹介しなきゃいけないし、ちょいと嵐の予感がすんだよなぁ」
フォルス「はは、それは大変そう‥‥‥ って、あれ? 旦那候補を紹介?」
フローテ「え‥‥‥ど、どういうこと?」
ペリエ「む? むー‥‥‥? なにやらききずてならないことば、きこえた」※1
シーダ「いや、そこで不思議そうな顔すんなよ さっき確認しただろ、予定あけられるかって
    当然、お前も行くんだよ」
フォルス「ええええっ!? き、聞いてない!?」
シーダ「だーから今聞いてるだろ? 悪いけど拒否はできないからな
    なんせ、お前らを連れてくのが フローテの出した条件なんだから」
フォルス「なんで!?」
フローテ「べ、別に他意はないわよ、大勢のほうが退屈しなくてよさそうだからっ!
     っていうか、旦那って何よ!? その話は聞いてないんだけど!?」
シーダ「おー、話してないぞ
    まあ、かわいそうだが、ここはすっぱり諦めろ こいつ、アタシにベタ惚れだからさ」
フローテ「う‥‥‥うわああん! 誓約やめるー! 子どもに戻るー!!」
シーダ「ま、待て、それは さすがに困る!!」
フォルス「なんだか大変なことになりかけてるなあ‥‥‥」
ペリエ「かくご、きめるしかない にげみち、なさそう」※2
フォルス「あー‥‥‥まあ、いいか ちょっとびっくりはしたけど
     アネゴの家族なら、何にせよ挨拶には行っておきたいしね」
シーダ「よし、そんじゃ話は決まりだな
    ‥‥‥覚悟は決めとけよ? たぶん、アタシは面倒な女だぞ?
    何せ、これまで演技以外じゃろくに甘えたことがないんでね
    加減を知らず、お前がつぶれるまでのしかかるかもしれない」
フォルス「できるものなら、やってみるといいよ こう見えても、けっこう頑丈なんだ
     アネゴとフローテくらい、支えきってみせるさ」
フローテ「‥‥‥私も、いいんだ‥‥‥」
シーダ「あはは、ずいぶん大きな口叩いたな! 後になって後悔すんなよ?」
フォルス「するわけがないさ、だって‥‥‥」

ずっと一緒にいられる、それだけで、僕たちは幸せなんだから‥‥‥



好感度3
シーダ「ところでフォルス、来週からしばらく休暇とれないか?」
フォルス「‥‥‥え、なに、いきなり? できないことはないと思うけど
     街に残ってた冥土は、アベルトたちの協力でほとんど片付けられたし、
     そろそろ第一線から外れていいって管理官さんが言ってたし」
シーダ「そか、よーしよし そしたら決まりだな」
フォルス「え、いや、いったい何の話してるの?」
シーダ「ああ、実はそろそろ、実家に顔を出そうと思ってたんだ
    前に話しただろ? うちはもともと、けっこう重たい使命を抱えた一族でさ
    アタシにも、実はけっこう面倒なお役目があったりすんのさ
    ちょいと長い家出の間、ずっとほったらかしてきたけど
    ‥‥‥今回がんばってるあんたを見てて、アタシらもちょっとは前を向こうかなって
    まあ、そう思ったワケ」
フォルス「お役目って‥‥‥じゃあもう、こっちには戻ってこれなくなったりとか‥‥‥」
フローテ「やめてよ、そんなぞっとしない話
     シーダの実家って、「大樹の守護者」のアフラーン一家なのよ?
     アルミネスの大樹のそばなんて、神聖っぽいし たぶん、悪魔の近づくところじゃないわ」
フォルス「あ、そういえば‥‥‥」
フローテ「‥‥‥べ、別に怖がってるわけじゃないのよ? ただほら、居心地悪そうじゃない
     シーダがどうしても帰りたいっていうから それなら、仕方が無いかしらねって」
シーダ「こいつ、ずっとアルミネスの樹を怖がって 反対してたんだけどさ
    どういう心境の変化か、条件つきでなら付き合ってもいいって言ってくれたのさ
    だったら、アタシも、そろそろ ちょっとは覚悟を決めるかねえって」
フローテ「ちょっ、ちがっ!」
フォルス「そっか‥‥‥ がんばったね、フローテ」
フローテ「‥‥‥だから、怖がってたわけじゃ‥‥‥」
シーダ「ま、お勤め自体は、三日もあれば終わる 大樹の簡単なお手入れだ
    面倒なのは、オヤジとか姉ちゃんとかに 子どものカッコで挨拶することだな」
フォルス「はは、それは大変そうだね で、僕は何をすれば?」
シーダ「いや、そこで不思議そうな顔すんなよ さっき確認しただろ、予定あけられるかって
    当然、お前も行くんだよ」
フォルス「ええええっ!? き、聞いてない!?」
シーダ「だーから今聞いてるだろ? 悪いけど拒否はできないからな
    なんせ、お前らを連れてくのが フローテの出した条件なんだから」
フォルス「なんで!?」
フローテ「べ、別に他意はないわよ、大勢のほうが退屈しなくてよさそうだからっ!」
ペリエ「かくご、きめるしかない にげみち、なさそう」※2
フォルス「あー‥‥‥まあ、いいか ちょっとびっくりはしたけど
     アネゴの家族なら、何にせよ挨拶には行っておきたいしね」
シーダ「よし、そんじゃ話は決まりだな
    ‥‥‥覚悟は決めとけよ? たぶん、アタシは面倒な女だぞ?
    何せ、これまで演技以外じゃろくに甘えたことがないんでね
    加減を知らず、お前がつぶれるまでのしかかるかもしれない」
フォルス「できるものなら、やってみるといいよ こう見えても、けっこう頑丈なんだ
     アネゴとフローテくらい、支えきってみせるさ」
フローテ「‥‥‥私も、いいんだ‥‥‥」
シーダ「あはは、ずいぶん大きな口叩いたな! 後になって後悔すんなよ?」
フォルス「するわけがないさ、だって‥‥‥」

ずっと一緒にいられる、それだけで、僕たちは幸せなんだから‥‥‥



響友差分
※1 好感度4・5のみ
ダイス「なんだか、話がややこしくなる予感が‥‥‥」
カゲロウ「旦那つったら、つまり‥‥‥」
スピネル「ちょ、ちょちょちょっと待ってください、いま聞き捨てのならない言葉が聞こえました!」
ペリエ「む? むー‥‥‥? なにやらききずてならないことば、きこえた」

※2 共通
ダイス「やれやれ、どうやらこれは 覚悟を決めたほうがよさそうだよ」
カゲロウ「ははっ、こりゃどうにも逃げられそうにねえな?」
スピネル「むむー‥‥‥ なんだかとっても、納得できません!」
ペリエ「かくご、きめるしかない にげみち、なさそう」


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Last-modified: 2013-11-04 (月) 00:00:00